08.杜若色 ページ10
｢は！？彼女！？｣
誰よりも早く声を上げたのは意外にも新一くんだった。
君まっったく信じてないだろ…確かに嘘だし新一くんには嘘だとバレても問題ないけど。
でもその｢日本が恋人じゃなかったのか｣みたいな目をやめろ。ほっといてくれ。
｢え！安室さん彼女いらっしゃったんですか！？｣
続けて声を上げる蘭さん。
そういえばAの奴、さっきからやけに静かだな…
こいつのことだからキャンキャン騒いで｢え！？私いつから彼女になったんですか！？｣とかぶち壊してきそうだと思ったが…
ようやくそのことに気づいて、半歩後ろにいるAの方を見る。
しかし振り返って、思わず目を見張った。
そこにいたのは、俺の知ってるAじゃなかった。
いつもの軽い笑い方じゃなくて、年相応の笑顔を浮かべていて。
いつもと正反対の落ち着いた雰囲気を纏っていて。
佇まいからあのバカさは完全に消えていて。
…は？誰だお前。こんなに大人しい犬を飼った覚えはないぞ。
｢初めまして！毛利蘭です！｣
差し出された蘭さんの手をキュッと握るA。
浮かべられた微笑みの普段との落差が激しすぎていっそ怖い。
『蘭さんですね。初めまして。
安室さんとお付き合いをさせて頂いてます、いぬ───』
瞬間、普通の人にはわからない程度の間が空いた。
恐らく本名を名乗ろうとして直前で躊躇ったのだろう。
俺が偽名を名乗っている相手だから、自分も偽名の方がいいのではないのかと。
へぇ、と一瞬感心する。そこまで考えられる頭を持ってたのか、と。
が、しかし。
『──犬井犬子です。』
ネーミングセンスは壊滅的だった。
ふざけてんのかこいつ。犬井犬子は適当すぎるだろ。
いくらなんでもこれはないと自分でも思ったのか、Aの口の端が引き攣る。
全てを察したらしい新一くんが半目で乾いた笑いを漏らした。
けれどこの場で唯一蘭さんだけは、気に留めた様子もなく笑顔を崩さなかった。
｢犬子さんですね！よろしくお願いします！｣
『え！？うそ、天使ですか！？』
突っ込まれないとは思っていなかったAが思わず素を露わにする。
｢え？｣
『あ。ウフフ、失礼しました。よろしくお願いします』
こんな明らか偽名の名前も疑わないでくれるのか…
相変わらず出来たお嬢さんだな、と思っていると新一くんと目が合った。
なんだか自慢げな瞳がイラッときたので、ちょうど青に変わった信号を理由に二人に別れを告げた。
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ！良かった！同じですね(*´▽｀*) (2021年1月20日 19時) (
レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね！！！？？（笑）私もめちゃくちゃ見たいです！！！！！！！ (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜！そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)､狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です！好きすぎる！ (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年7月6日 23時
