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36.琥珀色 ページ38

Aの頬をつねろうとしたが、手に力が入らない。

言われてみれば確かに頭がグラグラしてきた。

視界もボーッとしてる。



「降谷さん、今日はもう帰って寝て下さい」

『そうですよ!風邪かもしれないですし』

「どうせただの過労だ、大丈夫だ」

『「それなら尚更寝て下さい!!!」』


珍しく風見とAの声が揃った。

ちっ…今まで過労如きで熱出すなんてしたことなかったのに。

年か、という考えが浮かんだが無理矢理握りつぶした。

いやまだ30だし。まだまだ元気だし。



『わかってますか降谷さん!人って過労で死ぬんですよ!?過労死って知ってますか!?』

「俺はそんな簡単に死ぬほどやわじゃない」

『それについては同意しますけれども!』


Aはキャンキャン吠えながら鞄を掴む。

待て、なんでこいつまで帰り支度してるんだ。

彼女はそのまま俺の腕を取って引っ張った。



『ほら、帰りますよ!』

「なんでお前まで…」

『そんなフラフラな降谷さんに車の運転なんてさせられません!』

「はぁ?お前なんかに俺の愛車を任せられるか」


このポンコツにまともな運転が出来るとは思えない。俺のFDだぞ。

ていうか車の免許持ってんのかよ。

そう聞けば、Aは『車の運転くらいできますぅ!』と不満げな声を上げた。



『家まで送ってついでになにか作ってあげますから!』

「えぇ…」

『熱出てる時に自分で買い物行ったりご飯作ったりしたくないでしょ!?』


それはそうだけど。

確かに誰かがいてくれれば助かるけれど。

それでも、と立ち止まる俺にAは怒ったように距離を詰めてきた。



『もう!降谷さん、私の作ったお粥食べたくないんですか!?』

「おかゆ…」

『具沢山の卵がゆです!食べたいでしょう!?』

「………うん」

『じゃあ行きますよ!』


ダメだ、飯を出されたら勝てない。

Aの作る飯なら余計にだ。

こいつもこいつで自信満々かよ。食べたいでしょうって。食べたいけど。


いつもより強引なAに手を引かれながら駐車場を歩く。

『鍵ください』と振り返った彼女は、まだ少し怒った顔をしていた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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