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51話 ページ8

ひとまずパソコンを起動してみる。

明るい画面に浮かび上がったのは、予想通りの文字。


…うん、やっぱりあるよね、パスワード。

4桁か…強行突破できなくはないけど、伊織くんが入れそうな数字をいくつか試してみるか。


記憶を掘り起こして、伊織くんの誕生日やら好きなものの語呂合わせやらを入れてみる。

全部ハズレかー…うーん、あとなんかあるかな?

伊織くんの好きなものなんて、車と推理小説くらいしか…


あ。あと1個あった。

自分で言うのはちょっと、いやかなりどうかと思うけれど。

伊織くん、私のこと好きだった。

流石に思い上がりすぎかなーでもなー…と思いながら、一応私の誕生日を入力してみる。



『…………なんで開くねん…』


思わず関西弁になった。

映し出されたWelcomeの文字に顔を覆う。

は、恥ずかしい…これは本当に恥ずかしい…


…うん。なにはともあれ結果オーライよ。

これでもうこのパソコンは裸も同然。


とりあえずメールの送信ボックスを探す。

巧妙に隠されてはいたが、これくらいどうってことない。

すぐに見つけ出して中身を見た。



『………ビンゴ』


ビンゴだ。

当たりだった。

もう誤魔化しようもなかった。

想像以上にすんなりと、見つけてしまった。

裏取引の連絡の痕跡が、大量に残されていた。


はぁ…と息をつく。

もうこれで確実になった。なってしまった。


メールを全てコピーして、風見さんのメアドを打ち込んで送る。

これですぐに公安が来るだろう。

多分、そのうち零も来てくれるはず。



喜ぶべきところのはずなのに、何故か心は沈んでいた。


本当は信じたくなかったのだ。

仮説の段階では、どこかでずっと否定していた。


頭の中で、幼い日の伊織くんの声が響く。


“Aちゃんって言うの?僕は伊織!一緒に遊ぼうよ!”



彼がいなかったら、幼少期の私は間違いなく1人だった。

唯一仲良くしていた大切な幼馴染。

告白されて、振ってしまって、家を出て。

もう何年も会ってなかったけど、それは変わってない。


まだ信じたくない。

深層心理はそう言ってる。

それでも私は警察官だ。

正義を貫かなければならない。


グッと奥歯を噛んでパソコンの電源を落とした。

よし、もうここを出よう。

そう思った時だった。


「随分と無作法なお姫様だね、Aちゃん」

『……っ』


いつの間にか部屋の出口に、伊織くんが立っていた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時

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