後日談4 ページ30
『すみません、ありがとうございました。
ちょっと寝不足でして…』
「それは良くない。家までお送りしましょうか?」
『え!?いえ!!大丈夫です!!!』
なんて会話を終えて沖矢昴に別れを告げ、早足で家へと急ぐ。
多分零もあのまま家に帰るのだろう。
早く弁解しなければ、とは思うものの、帰れば激おこキングコングが待ち構えているのかと思うと足もすくんだ。
えぇ…やだよ怖すぎ。帰宅先が閻魔大王へ続く扉に見えるのは何度目だろうか。
なるべく音を立てずに鍵を回し、そろりとドアを開ける。
意味もなく抜き足差し足でリビングに入った。
『…た、ただいま』
「おかえり」
返ってきた声はかなりの苛立ちを含んでいる。
あ〜〜やっぱり怒ってますよねそうですよね!
拗ねたようにぷいっと顔を背けた零は、それ以降なにも言ってこない。
釈明は許してくれるらしい。ありがたや。
『あのですね、あれは私が階段に気付かず落っこちそうになってですね』
「……」
『そこを沖矢昴が引っ張って受け止めてくれまして』
「…で?」
『そ、その時ちょうど貴方様が通りかかられて…』
…うん。纏めてみれば至極簡単な話だ。
責められるほどのことでもないはず。
ただちょっと、タイミングが悪かっただけなのだ。
零は顔を背けたまま、不満げに答える。
「ただの階段から落ちそうになる公安がいるとはな」
『すみません!!』
「それでよく公安が務まるな」
『おっしゃる通りで!!!』
これ以上機嫌を損ねられてはたまらない。
とりあえず全力で頭を下げておいた。
1回拗ねると割と長いんだよなぁこいつ…
大体そんなに怒ることだろうか。
沖矢昴に後ろから肩を抱かれただけじゃないか。
それだって事故だし。
一体なにをそこまで………って、あれ?
そこまで考えてようやく気づく。
ちょっと待ってよ?
もしかしなくてもこれは…いわゆる嫉妬というやつでは?
パッと顔を上げた。
零は相変わらずむすっとしたまま顔を背けている。
…え、やばい。
そうだと気づいたらすごい可愛く見えてきた。
なんというか、素直に嬉しい。
座っている零の背後に近づく。
そのまま後ろから零の首に腕を回した。
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ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時