後日談3 ▽Jealousy -another- ページ29
言っておくけれど、私はそこまでFBIを嫌っているわけではない。
そりゃあFBIが日本で出しゃばってきたら、うちの領域でなにやってくれてんだと思うわよ?
私だって公安だし。
それでも零ほど目の敵にはしてないし、零の赤井秀一に対するあれはもうそういう生き物じゃないかと思っている。
アカイィィィィィィ(鳴き声)
あそこまで嫌う事情がなにかあるのはわかってる。
そこに緑川が絡んでるのも察してる。
だから、私は極力FBIという単語を彼の前では出さないようにしていたのだ。
だというのに。
偶然というものはあまりにも重なってしまうものでして。
ある日の夕方、1日張り込みをしていた私は、次の人と交代したらそのまま直帰していいと言われていた。
夕方に帰れるなんて久しぶりだ。
今日は零も早く帰ってくると言ってたし、晩御飯を作って待っていようか。
そんなことをぼんやり考える。
この日の私は、いつも通り寝不足で。
…寝不足にいつも通りが付くなんておかしいと思うが、そういうわけで少しぼーっとしておりまして。
「───Aさん!」
『わぁ!?』
何度か聞いたことのある声が耳に入るまで、自分が階段の前まで来ていることに気づいていなかったのだ。
落ちる直前でグイッと腕を引っ張られる。
急なことにバランスを崩して後に倒れる。
そのまま誰かに背後で受け止められ、ようやく現状を理解した。
一体誰が、と振り向く。
ハイネックの服。黒縁のメガネ。細められた瞳。
「全く…ちゃんと前を見ないと危ないですよ」
『───あ、』
アカイィィィィィ!!!!(鳴き声)
いやいやいや落ち着け。
違う赤井じゃない、今は沖矢昴だ。
そして私はただのOLの白石A。
ポアロで何度か会ったことがあるだけの関係だ。
恐らくコナンくんから正体はバレているだろうが、私は一瞬で笑みを貼り付けた。
が、しかし。
重なってしまったのだ、偶然が。
沖矢昴の肩の向こう、反対車線。
白のマツダRX-7。ナンバー7310。
右の運転席に座る……鬼の形相の、降谷零。
一瞬で走り去っていった。
それでも間違いなく目が合った。
ひっ…と声が漏れる。
今の体勢を確認しよう。
私は、沖矢昴に、赤井秀一に、背後から肩を抱かれている。
アウトォォォ!!!
やばい。やばいやばいやばい。
やましいことなんて1つもないけど冷や汗が止まらない。
不思議そうに顔を覗き込んでくる沖矢昴なんて気にしている余裕はなかった。
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ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時