可愛くないキミの落とし方 ２【降谷零/安室透】

61話 ページ18

くあ、とあくびが漏れる。

えーと…このあと資料取りに行って書類纏めてそれから会議で……

頭の中で予定を確認しながらため息をついた。


『つっかれた…』


ほんと疲れた。

あの件の後処理がなかなかに大変で。

私が逮捕現場にいたからこれまた更に色々と面倒で。

カフェインを大量に摂取していないと死ぬ。

そういうわけで私は栄養ドリンクを買いに自販機前まで来ていた。

と、そこで見覚えのあるピョン毛が目に入った。

んん？この後ろ姿、もしや…



『あれ？コナンくん？』

｢あ、Aさん！｣


自販機前の椅子に座っていたのはまさかのコナンくん。

相変わらず神出鬼没だな。ここ警視庁だぞ？



『なんでこんなところに？』

｢おじさんが捜査協力に呼ばれたんだよ！ボクは会議に入れてもらえなくてここで待ってるんだ！｣

『へぇ…あ、じゃあもしかして蘭ちゃんも来てる？』


ここで私の正体を知らない蘭ちゃんと鉢合わせるのは少しまずい。

慌てて立ち去ろうとしたが、コナンくんが｢蘭姉ちゃんなら空手の試合でいないよ｣と言う。

それなら少しはいいかと自販機にお金を入れながらコナンくんに話しかけた。



『そうだ、傘受け取ったよ。ありがとね』

｢ううん！Aさんこそ、この前大変だったみたいだね｣

『なに？零から聞いたの？』


あの堅物が事件の内容を話したなんて、もしかしてコナンくんもこの前の一件に絡んでたのだろうか。

直前まで一緒にいたし。

もう今更聞く気にはならないのでスルーして話を続ける。



『ま、正直今の方が大変だけどね』

｢みたいだね…すごい隈だよ｣

『まじ？２時間も寝たのに…』

｢２時間に“も”を付けないで｣


完全にブラック企業よね。

ほしい物リストには睡眠時間と書きたい。

ひたすら栄養ドリンクのボタンを押し続ける私を、コナンくんは明らかにドン引きの目で見る。

しかしすぐに元の表情に戻り、話題を切り替えた。



｢Aさん、ボクもう騙されないよ｣

『え？なにが？』


何の話か読めなくてメガネの向こうの瞳に目をやる。

…あ、待って。これやばい時の目だ。

なにかを探る時の目。探偵の時の目。

全てを見透かしそうな瞳で、コナンくんは続けた。



｢Aさん、安室さんのこと好きだよね？｣



わ、わ〜〜〜やだ、誰か助けて。

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