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60話 ページ17

アイスコーヒーをコナンくんの前に置いた。


「…ま、片思いこじらせるのにはもう慣れたから。
気長にやるさ」


何年経ったかなんて数えたくもない。

コナンくんは凄まじい勢いでアイスコーヒーを吸い上げながら半目で俺を眺める。

そして半分ほど飲んだところでストローから口を離し、いたずらっ子のような笑みを浮かべた。



「安室さん、いいもの聞かせてあげよっか」

「え?」


そう言いながら彼が取り出したのは録音機。


「昨日の会話、録ってたんだよね。
バレてデータ消しとけって言われたけど、消すわけないよねー」

「……はは」


こわすぎ。

ニコニコ笑顔で言うコナンくんに若干引きつつ、大人しく待つ。

適当に早送りをした彼は、この辺かなーと言いながら再生ボタンを押した。

同時に聞き慣れた声が機械から流れ出す。



〈鬼ゴリラだし生まれは原生林じゃない?〉

〈う、うん…?〉


「あ、やっべミスった」

「………」



明らかに素が出たコナンくんが慌てて停止ボタンを押した。

…何の話をしてるんだ。

いや、わかる。絶対俺のことだろ。


「やっぱりあいつ可愛くねえ…」

「あ、安室さーん…ごめん、聞かせたかったのはこっち」


苦笑いしながら、コナンくんがもう1度再生ボタンを押す。

流れてきたのはコナンくんの声だった。



〈でもAさん、安室さんのこと大好きだよね?〉


その言葉にギクリと体が固まった。

恋愛的な意味を含んでいないことは察したが、それでも緊張しながら返事を待つ。

かなりの間が開いた。

しかしやがてAの、ぶっきらぼうな声が聞こえてきた。



〈……そーね〉


「〜〜〜っっ!」


思わずおぼんで顔を隠してへたりこんだ。

な、なんだよもう…くっそ…俺の前じゃ絶対言わないくせに…

一発KOを食らった俺に、コナンくんが声をかけた。



「安室さん安室さん、まだ続きあるよ」

「え?」


そう言われてのろのろと立ち上がる。

その瞬間、照れが滲んだ声でAが言った。



〈世界で1番大切な人、かな〉



ヒュッと喉が鳴った。

え、え、待って。なに今の。

あいつそんなこと思ってたのかよ。

やばい。嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。

カコンとおぼんが落ちた。

それに気づかず固まる俺に、コナンくんがニッコリと笑う。


「安室さん、Aさんもうすぐ家出るんだよね?」

「…はい」

「その前に告白、できるよね?」

「………はい」


サラリととんでもない約束を取り付けられてしまった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時

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