39話 ▽Rain ページ44
バシャッとパンプスが水たまりを踏む。
傘も差さずに走っているから、もう全身酷く濡れていて前髪が額に張り付いている。
けれどそんなことはどうでもいい。
わけがあって動けないから今から来てほしい、といった内容の連絡だった。
場所はここからそう遠くもない工場地帯。
走っていけば10分ほどで着く。
朝から嫌な予感がしていた。
今日１日、不安に押しつぶされそうだった。
それこそ、あんな小学生に弱音を吐いてしまうくらい精神がガタついていた。
だから。そのせいで。私は今、普段以上に取り乱していた。
まさか予感が当たったんじゃないかって、本気で疑っていたのだ。
赤信号になるギリギリで横断歩道を駆け抜ける。
警察官としてふさわしくない行動だが、そんなことは気にしていられない。
萩原が死んだ時、私と零は泣かなかった。
それは萩原の時だけじゃなくて。
緑川が自決した時も、松田が爆破された時も、伊達が事故にあった時もそうだった。
最後に私達だけが残されて、それでも決して泣かなかった。
相手が涙を堪えていることを、お互いがわかっていた。
自分が泣けば相手が泣けなくなる。
ここで泣いたら相手が困ってしまう。
そうわかっていたから、私たちは同時に感情を全てせき止めた。
それ以来、どちらともなく彼らの話をすることはなくなって。
思い出に蓋をしてしまい込んで。
溢れそうな感情を今日も抑え続けて。
『れい…！』
ようやく目的地に着き、足を止めて息を整えた。
雨音であまり聞こえない周囲の音に耳を澄ます。
携帯にかかってきた番号は非通知だった。
きっとこの辺りの公衆電話からだろう。
こんなところにある公衆電話なんて思いつく限り２つだけ。
とりあえずそこに向かおうと一歩踏み出したその時だった。
『……っ！？』
後ろで人が動く気配がした。
慌てて振り返れば、そこには黒いスーツとサングラスの男が３人。
明らかに真っ直ぐ私に向かってきている。
本能的に敵意を感じ取って後ずさった。
なんだこいつら…
誰の差し金だ？なんで私を狙ってる？
とりあえず逃げようと入り組んだ道に駆け込む。
それがまずかった。
『やっば…行き止まり』
無慈悲にそびえ立つ高い壁は、逃げ場所がないことを告げている。
まずい。本気でピンチだ。
振り返ると、例の男達はジリジリとこちらに詰め寄ってきていた。
３人か…銃はない。やれるだろうか。
私は小さく息をついて構えた。
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立夏(プロフ) - 坂竹会長さん» わわわほんとですね…！ありがとうございます！直しておきます！ (2018年9月30日 21時) (
レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ30、あんなとこでが、あんたとこでになっております。間違っていたらすみません。 失礼しました。 (2018年9月30日 20時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 立夏さん» まさか見ていただけてるとは……！夢主ちゃんがどうなるか続きが気になります……。お互い更新頑張りましょう笑 (2018年6月7日 9時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - mリンさん» わぁぁmリンさん！初めまして！私もmリンさんの小説いつも楽しみに読ませてもらってます！！本人の前で素直になれるのはいつになるやら…という感じですが応援していただけると嬉しいです笑 ありがとうございます！頑張ります！ (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - お初にお目にかかります。ちょっと素直になってきた夢主ちゃんがたまらなく可愛いです………。このお話本当に好きです。私のとこの夢主とはえらい違いが……笑 続き楽しみにしてます、更新頑張ってください！ (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年5月20日 18時
