47.浅葱色 ページ7
聞かれた質問には出来るだけ答える、か…
このタイミングでこんなことを言ってくるなんて、やっぱりこの子は俺がNOCだとわかってるんじゃないだろうか。
ただの遊びのような、そんな気もするけど。
でもこれは間違いなくチャンスだ。
向こうが答えると言ってるのだから、ギリギリのところを聞いておきたい。
いきなり組織の重要な部分に突っ込むようなことは出来ないが、シャトー自身のことならまだセーフだろう。
俺はしばらく顎に手を当て、悩んだ末に彼女に尋ねた。
｢…ポーラーの子供だっていう噂は本当ですか？｣
｢わお、どぎついとこ来るなぁ。
お兄さん抜け目ないね、そういうとこ好きだよ｣
｢ありがとうございます｣
｢変にポジティブなところもね｣
シャトーはそう言って軽く笑う。
そして迷わずに答えた。
｢実の子ではないよ｣
即答したところから見ると、別に隠してることでもないのだろうか。
なんでもないことのように、シャトーは続ける。
｢本当のお父さんとお母さんは別にいるよ。
今どうしてるのかはわからないけど、多分普通に暮らしてるんじゃないかな｣
｢施設育ち…とかですか？｣
｢あはは、お兄さんすごい突っ込んでくるねえ。
違うよ。気づいたらここにいたの｣
｢……え？｣
気づいたらって……それじゃあまさか、自分の意志でここへ入ったわけじゃないのか？
両親が今も普通に暮らしているなら、少なくとも親が何か関係してるわけではないのだろう。
まるで、ある日突然ここへ連れてこられたような言い方だ。
｢…っ｣
もう少し何か聞こうと口を開きかける。
しかしその前に、シャトーの人差し指が俺の唇に触れた。
｢ストップ。悪いけどそろそろ終わりね｣
｢…じゃあ、あと一つだけ｣
｢グイグイ来るなぁ。いいよ、聞くだけ聞いてあげる｣
指が離れる。
仮面に覆われた顔をじっと見ながら、俺は言った。
｢あなたの名前は？｣
｢シャトーだよ｣
｢そうじゃなくて本当の名前は…｣
｢さあ？なんだったかなぁ｣
シャトーはわざとらしく肩をすくめて見せる。
｢覚えてないんですか？｣
｢そーだね、そんな感じ｣
明らかに嘘だ。
どうしても本名を言う気はないらしい。
視線を離さず見つめても、変わらず飄々とした空気を纏っている。
しばらく沈黙が続き、やがてシャトーはタンッと塀の上に飛び乗った。
｢ごめんね、そろそろ行かないと。またねお兄さん｣
彼女はいつも通りの言葉と共に姿を消した。
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立夏(プロフ) - あかね。さん» 素敵なお言葉になんてお返しすればいいのかわからないくらい今すごい泣きそうになってます、本当にありがとうございます！実は私も当作品が1番気に入ってまして、今でも楽しんでくださる方がいるなんてとっても嬉しいです！長い間お付き合いありがとうございます！！ (2020年4月23日 0時) (
レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね。(プロフ) - 何回目か分かりませんが、また読み直してしまいました。立夏さんのお話ほんと好きで、中でも狂犬が1番好きで、犬飼ちゃんと降谷さんがやっと掴んだ幸せに毎回涙します。素敵な作品をいつもありがとうございます！ (2020年4月22日 13時) (レス) id: 639a2702b7 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - いるかさん» わぁぁ完結して随分立っているのに見つけてくださってありがとうございます…！本当に嬉しいです！最後まで読んで下さってありがとうございました！！ (2019年4月25日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
いるか(プロフ) - 素敵すぎる小説すぎて涙が止まりませんでした。これからも、応援してます(´；Д；`) (2019年4月24日 16時) (レス) id: 8c81b6610f (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウツボカズラさん» 伏線褒めてもらえるなんて嬉しいです…！どちらも夢が叶ったハッピーエンドを無事お届け出来て安心しております笑 最後まで本当にありがとうございました！！これからも頑張ります！ (2018年8月11日 1時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年8月2日 19時
