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61.海松色 ページ21

一旦笑顔を浮かべたものの、Aはすぐに真面目な表情に戻った。

そして俺から離れて自分の足で立った。



『降谷さん、今すぐここから出て下さい。
ポーラーは自分が致命傷を負うと、このビルが爆発するように仕掛けていました。
恐らくあと5分ほどで爆発します』

「なんだと…!?わかった、さっさと出るぞ」


頷いて、風見にすぐに全員ビルから離れるよう伝える。

いちいち面倒な設備付けやがって…

通信を切りながらAを振り返ったが、何故かAはその場から動こうとしない。


訝しんで1歩近づいたところで、突然爆発音が轟いた。

え、もう…!?

小さいが、真上で起こったようで天井が歪んだ。

今のはただの警告だろうけど、爆発するのは本当のようだな…



「おいA、早く…」


そう呼びかけた声に被せるように、Aがポツリと呟いた。



『多分、一目惚れだったんですよね』

「……え?」


こんな時にいきなり何の話だ。

急かそうとしたものの、微笑んだその顔に言葉が詰まる。

パラパラと天井の欠片が降る中、Aは俺の頬に手を添えて傷を指でなぞった。



『面白いことなんて何もないモノクロの世界の中で、あなたの綺麗な瞳だけが色付いて見えた。
ずっと守ってきた言いつけを破って、あなたに話しかけた。
会えなくなってからも、いつもあなたのことを思い出していました』


その言葉の意味がようやくわかってきて息が止まる。

ふわりと花が開くように笑ったAに、見とれてしまう。

Aの手が名残惜しそうに離れた。

その唇が、言葉を紡ぐ。



『降谷さん、大好きです』



次の瞬間、Aは傷だらけとは思えないほど強い力で俺を突き飛ばした。



「な…っ!?」


間髪入れず、天井に向けていつの間にか握り直していた機関銃を撃ち込む。

飛ばされた俺と後ろに跳んだAの間に、元々緩んでいた天井が耐えきれず崩れ落ちる。

Aの姿が瓦礫によって完全に見えなくなってしまった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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立夏(プロフ) - あかね。さん» 素敵なお言葉になんてお返しすればいいのかわからないくらい今すごい泣きそうになってます、本当にありがとうございます!実は私も当作品が1番気に入ってまして、今でも楽しんでくださる方がいるなんてとっても嬉しいです!長い間お付き合いありがとうございます!! (2020年4月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね。(プロフ) - 何回目か分かりませんが、また読み直してしまいました。立夏さんのお話ほんと好きで、中でも狂犬が1番好きで、犬飼ちゃんと降谷さんがやっと掴んだ幸せに毎回涙します。素敵な作品をいつもありがとうございます! (2020年4月22日 13時) (レス) id: 639a2702b7 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - いるかさん» わぁぁ完結して随分立っているのに見つけてくださってありがとうございます…!本当に嬉しいです!最後まで読んで下さってありがとうございました!! (2019年4月25日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
いるか(プロフ) - 素敵すぎる小説すぎて涙が止まりませんでした。これからも、応援してます(´;Д;`) (2019年4月24日 16時) (レス) id: 8c81b6610f (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウツボカズラさん» 伏線褒めてもらえるなんて嬉しいです…!どちらも夢が叶ったハッピーエンドを無事お届け出来て安心しております笑 最後まで本当にありがとうございました!!これからも頑張ります! (2018年8月11日 1時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年8月2日 19時

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