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Aの実家は東都からさほど離れてなく、思ったよりも早く着いた。
こじんまりした普通のアパート。
その2階の1番端の部屋に1人で住んでいるらしい。
Aが彼女のお母さんに伝えた到着時刻にはまだ少し早い。
だからって気にしなくて大丈夫ですよ〜と迷いなくチャイムを鳴らそうとしたAの手を、慌ててガッと掴んだ。
『えっ』
「ちょっと待って、まだ心の準備ができてない」
『えぇー?そんなに緊張してるんですか?』
「下手したら任務の時より緊張してる」
『うそでしょウケる』
「なに笑ってんだ」
緊張しないわけないだろ。恋人の親御さんだぞ。認められなかったら詰む。
深呼吸を繰り返す俺の顔を覗き込み、Aはからかうように笑う。
『あっはは、かーわいー』
「今じゃなきゃ殴ってるぞ」
『そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。多分すぐに拍子抜けしてアホらしくなってると思います』
「え?」
『それじゃあレッツゴー☆』
「あ、ちょっ、」
俺の制止の声を無視し、Aは笑顔でインターホンを押した。
ピンポーンと控えめな音が鳴る。「はーい!」と中から高めの声がした。…Aの声に大分似てたな。さすが親子。
パタパタと玄関の方へ駆けてくる音が聞こえ、ドアが開けられる。
しかし、そうして顔を出したのは、俺より少しだけ年上に見える人だった。
「A〜!久しぶり!」
声も顔もAそっくり。背は低め。年齢はどう見積もっても30半ばくらい。
…お姉さんか?いや、Aは一人っ子のはずだが…従姉妹とか?
混乱して黙っていれば、彼女がこちらに気づいて目が合う。
するとその瞬間、ぱあっと顔を輝かせられた。
「まあ!」
「へっ?」
めちゃくちゃキラキラした顔で俺の周りをくるくると回る女性。
そして俺の前で止まり、背伸びをして俺に顔を近づけて言った。
「お兄さん、彼女いる?」
「え」
『私だって言ってんだろアホか!!!!』
次の瞬間、Aがいつの間にか用意していたらしいハリセンで彼女の頭を思いっきり叩いた。
バシンッと大きな音が廊下に響き、ひえっと声が漏れる。
かなり痛そうではあったが、女性は笑ってAを振り向いた。
「あはは、冗談だって!あんまりイケメンだったからつい!」
『ったくもう…だから会わせたくなかったのよ』
その会話に徐々に目を丸くする。
え…?じゃあまさかこの人…
Aは半目で俺を見、嫌そうな顔で彼女を紹介した。
『母です』
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時