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「A」
引き寄せられるようにブルーの瞳を見上げる。
その目はあまりにも綺麗で、その中に私が映っていて。
彼は私のことを真っ直ぐに見つめて、告げた。
「好きだよ」
『……っ』
「誰よりも好きだ。愛してる。
俺はどんなAだって大好きだし、なにがあってももう二度と離す気なんてない」
コツンと額を重ね合わせる。後頭部に手を添えられた。
「我慢なんてしなくていいから。
嫌なら嫌って言えばいいし、いつだって本音をぶつけてくれていい。謝る必要だってない。
自分の気持ちを抑えて笑うAはもう見たくないんだ」
『零さん…』
彼はそこまで言って軽く笑う。
金色の前髪が揺れて、少しくすぐったく感じた。
「お前、俺のこと面倒くさいって言うけどそっちだって相当だぞ。そんなに考えすぎないでもっとわがままになってくれたらいいのに」
『え、えぇ…』
「そっちの方が嬉しいよ。
本当、普段はうるさいのに肝心なとこで黙るよな」
そう言って彼は私を抱きしめる。
彼の口が私の耳元にくる。零さんは小さく呟いた。
「…ごめん、正直いま結構嬉しい」
『はぁ!?』
ちょっと待てこの人今だいぶ聞き捨てならないこと言ったぞ。
顔を見ようにもガッチリホールドされて見れない。くそ…!狙ってたな…!
「だってなにをしようが絶対妬かなかったお前が妬いたんだぞ、嬉しいだろ」
『なん…っ!そんな可愛らしい問題じゃ…!』
「可愛いよ」
『〜〜〜っ!』
うわ…急に自分が酷く小さいことで悩んでたように思えてきた。
体の力を抜いて彼に体重を預ける。
本当にいつまで経っても適わない。私にはもったいないくらいいい人だ。
…今日くらい、素直になってもいいだろうか。
彼のスーツの裾をギュッと握った私は、小さな声で呟いた。
『じゃあ、今日は…いっぱい、甘やかしてくれますか』
「……え?今なんて…おい、ちょ、顔見せろ!こら逃げるな!A!!」
ぶわっと一瞬にして赤くなってしまった顔を全力で背ける。
あーーダメだ、やっぱりどう足掻いても本音を言うのは恥ずかしいし難しい。
「お前煽るのもいい加減にしろよ!本気で甘やかしまくるからな!!」
それでも、同じように赤く染まった彼を見て、たまにはいいのかもしれないなんて思ったのだった。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時