159 あたたかい夢の中に ページ16
Aside
『Aー！Aも遊ぼー！』
深緑ののふわふわの髪とまん丸の目
泥だらけの服
隣には色素の薄い幼なじみ
『A！おめぇも爆豪ヒーロー事務所に
入れてやる、ついてこい！』
『さっきと名前変わってない？』
『いいから！』
右手はお兄ちゃんに
左手は勝己に…
いや、あの時はまだ“かっちゃん”だった
3歳くらい…かな
私たちがまだ個性を持っていなかった頃
私たちはそれぞれ出久、かっちゃん、Aと
呼ばれていた
この時はお兄ちゃんはデクではなかった
木偶の坊じゃなかった
幼稚園で、片方ずつ目の色が違う事や
お兄ちゃんと似てないことで少し周りから怖がられていた
“実は愛人の子じゃないの？”だとか
“本当に血が繋がっているの？”など
友達のお母さんにも噂されていた
でも、かっちゃんやお兄ちゃんは一緒にいてくれたからさびしくはなかった
でも、あの日をきっかけに
道は別れてしまった
「娘さんの方は月光蝶…または幻夢蝶と
言われるものだと思われます
…息子さんの方は…無個性、ですね｣
あの時のお兄ちゃんの顔が脳裏に焼き付いてる
目を見開いて、泣きそうで、信じられなくて
口許がユルユルで
時が止まったように固まっている姿を
…それからだった
お兄ちゃんがデクになったのは
かっちゃんが、お兄ちゃんを
いじめるようになったのは
私が勝己と呼ぶようになったのは
私が実家…静岡の母とお兄ちゃんと暮らせなく
なったのは
お兄ちゃんは訳が分からず泣きっぱなし
お母さんは何とも言えない顔をして
私は悔しくて、怖くて
ただただ迎えに来たおじいちゃんに手を引かれて
荷物が積まれたトラックの助手席に乗って
私とお兄ちゃんの間の6年間の空白を作った
お菓子の袋に入った
お兄ちゃんから貰ったオールマイトカードを
シワにならないようににぎって
涙をこらえて
車に揺られて博多まで行った
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あすぅ(甘氷) - 最初から読ませていただきました!面白かったです!続き楽しみにしてます (2022年2月6日 19時) (
レス) @page29 id: 8561b5144a (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - まだ、続いて欲しいなぁ,,,頑張って下さいぃ! (2021年11月9日 23時) (レス) id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - とても面白いです。続きが見たいです。更新頑張ってください。 (2021年10月29日 14時) (レス) @page16 id: f649cf9af2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2021年6月25日 21時
