157 苦しい ページ14
Aside
「事前にお話いってるとは思いますが…雄英の全寮制について｣
「あ、はいその件ですが…私嫌です｣
「え、お母さん?!
昨日はうんって…｣
「考えてたの！でもやっぱりいやなの｣
「出久は…個性が出なくて
それでもずっと貴方に憧れてきました
でも…奇跡的に個性が発現してから
雄英に入ってから、出久…どんどんボロボロになって
いくんです！｣
「出久の腕…知ってますか…これ以上怪我をすると
動かなくなるって」
「え？｣
ガタッ
「え、A…」
「お兄ちゃん…なんで言ってくれなかったの？
メールでは大丈夫って言ってたよね？」
“動かなくなる”
初耳だよ
退院して、実家行くこと伝えて
メールして近況聞いて
そんなこと言ってなかった
「……私が治癒使えるの知ってるよね
そんな約立たずにみえるの？」
「っちがう！」
「あぁ…緑谷少年も緑谷少女も落ち着いて」
斜め向かいに座ったオールマイトに肩を叩かれる
それまで頭に昇っていた血が一気に冷えた
「ごめん、頭冷やす」
まだ住んでた時使っていた部屋に駆け込んでしまった
がちゃん
最低限のものしか持っていかなかったから
ベットや机はまだ置いてあった
他にもたまにしか着ない部屋着や中学の制服も
まだ置いてあった
昔お兄ちゃんと当てたオールマイトカードが
引き出しに入っていたのを思い出し
机の横の棚に鍵を差し込みガラッと開ける
ご丁寧にカバーを付けて保存されていた
今も仲が悪い訳では無いのに
どこか距離を置いてしまっている
ヒーロー科に転入しなければ
雄英に入学しなければ
お兄ちゃんが個性を授からなければ
…あの日、勝己をたすけなけれは
「……ヒュっ」
あらぬ妄想が頭を駆け巡る
こんなこと考えても意味はないのに
今の私を掻き乱すのは間違いなくお兄ちゃんだ
………ヒーロー科に転入しなければ
平穏な日々を過ごせただろうか
………雄英に入学しなければ
お兄ちゃんにこれ以上お節介を焼こうとしなかった
だろうか
………お兄ちゃんがオールマイトと会わず
あのまま帰宅すれば
個性を授かることはなかった
……勝己があの時助からなければ
どうなっていただろう
お兄ちゃんは虐められなくなっただろうか
ヒーローを目指すのを諦めるだろうか
………多分、ここでひとつ運命がねじれても
お兄ちゃんは今のままで居るのだろう
あ、あれ
……なんか私、ダメだ
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あすぅ(甘氷) - 最初から読ませていただきました!面白かったです!続き楽しみにしてます (2022年2月6日 19時) (
レス) @page29 id: 8561b5144a (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - まだ、続いて欲しいなぁ,,,頑張って下さいぃ! (2021年11月9日 23時) (レス) id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - とても面白いです。続きが見たいです。更新頑張ってください。 (2021年10月29日 14時) (レス) @page16 id: f649cf9af2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2021年6月25日 21時
