輩先生と純情びっち【鬼滅の刃】

（5）強制連行 ページ6

美術の授業を終え、モテる方法教えろとうるさい我妻をしっしと追い払って準備室へ戻る。



「綾瀬ちゃんと掃除したかー……あ？」



そこには綾瀬の姿はなく、代わりに画用紙に「綾瀬借りるぞ」という殴り書き。

いやでも殴り書きの割に達筆だな……あ、と気づいた時にはもう遅い。



「……不死川」



理系特有のピシッとした字はいつも職員室の隣のデスクで見ている字と完全一致。

ご愁傷さん、と心の中で手を合わせる。

が、そこでふと思い出す。


これ俺まで殺されるパターンじゃね？



＊＊＊



「余所見すんなァ」



そのごつい手でグイッと顎を掴まれて嫌でもその四白眼と目が合う。

女子供には優しいって噂はやっぱり嘘だったんだ…



「言ったよなァ？数学苦手ならせめて授業は出ろって」



「だってつまんないじゃん」




まぁいい。とパッと手を離される。

よっしゃ解放！と心の中でガッツポーズ。




「俺がみっちり補習してやる。放課後残れェ。」



「うぇ」




あまりの衝撃と倦怠感と絶望感に変な声出たよ。




「今日は放課後予定あるからキャンセル」



「どうせ男相手だろ？

てめぇの予定をキャンセルしろやァ。」




えーそんなの申し訳ないなぁと思いつつ、これ以上反抗してリアルに卒業できなかったら困るから素直にスマホを取り出した。


断わりのLINEを入れて、ポケットにスマホをしまう。もちろん、ため息を添えて。



その時、


「男はちょっとぐらい焦らされた方がいいんだっての」


と私の肩をバンバン叩いたのは




「宇髄てめぇ……」




無駄にギラギラした額当てが反射して目が痛いです、宇髄先生。




「綾瀬匿ったらただじゃおかねぇって言ったよなァ？」


「匿ってねぇよ。コイツが勝手に来ただけで」


「コーヒー出してくれたじゃん！」


「てめぇらな」



怒り爆発寸前の不死川先生に

「まぁまぁ！」

と声をかける宇髄先生のメンタルまじ尊敬。



「詫びの品だ。受け取れ」



ドンという効果音付きで取り出したのは和菓子を入れる木箱。



「……おはぎ？」



不死川先生は、黙ってそれを受け取る。

相変わらず鬼のような形相だけどなんか雰囲気和らいだ気がしなくもない。




「え！さねみんおはぎ好きなの？私もめっちゃ好き！さねみんはつぶ餡派？こし餡派？どっちもいいよねいつも迷っちゃ…うぐっ」



不死川先生に手で口を塞がれた。

暴力反対！！(n回目)




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