伍拾陸話 負けられない理由があります ページ19
「だーかーら、俺んとこに鬼がいんだよ!」
そう言って伊之助はなんだか変なポーズをしながら、
「こういう奴がいるんだって、こういうのが!!」
と、また叫んだ。
『私の所にもいるんだよね……』
「菫の所にもいるのか?」
『うん……』
「こうか!?これならわかるか!?」
もう一度叫んだ伊之助は、今度は蟹のようなポーズをした。私の話聞いてくれん?
「そろそろ宇髄さんと善逸、定期連絡に来ると思うから……」
「こうなんだよ!俺にはわかってんだよ!」
「うん、うん……」
『あ、あの、善逸なんだけど……』
「善逸は来ない」
声がした方を振り向くと、いつのまにか宇髄さんが座っていた。地味なオーラが漂っている。
「善逸が来ないって、どういうことですか?」
「お前たちには悪いことをしたと思っている。俺は嫁を助けたいが為にいくつもの判断を間違えた。善逸は今行方知れずだ。昨夜から連絡が途絶えている」
『嘘……』
だって、昨夜善逸を別室に運んだのは、私なのに……。
『消えたって言うんですか……?』
「炭治郎と伊之助はもう"花街"から出ろ。階級が低すぎる。ここにいる鬼が"上弦"だった場合、対処できない。消息を絶った者は死んだと見做す。後は俺と菫で動く」
「いいえ、宇髄さん、俺たちは……!!」
「恥じるな。生きてる奴が勝ちなんだ。機会を見誤るんじゃない」
「待てよオッサン!!」
宇髄さんは、伊之助の制止も聞かずに消えた。空気が悪い。私がもっとちゃんと、善逸のことを見ていれば……。
『ごめんね、私も、そろそろ休憩が終わっちゃうから……』
そう言って私も、京極屋に戻った。
__________________
「菫さん……!」
お店に戻ると、昨日の禿の女の子が、私の元に走って来た。名を、
『花奈琵ちゃん……!』
「善子さんが……善子さんがぁ……!!」
『うん、私が、ちゃんと見ていれば防げたの。大丈夫、安心して。悪い鬼は、私がちゃんと倒すからね……!』
「うぅ……」
負けられない。
花奈琵ちゃんの為にも、善逸の為にも……!
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たまごぼーろ(プロフ) - ウォルさん» ありがとうございます!テスト期間中((←ですが頑張ります! (2019年9月8日 21時) (レス) id: 69cc3fb36c (このIDを非表示/違反報告)
ウォル - 続編おめでとうございます!!! 続き楽しみにしてます((o(^∇^)o)) (2019年9月8日 19時) (レス) id: 6d590d31fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜乃茜 | 作成日時:2019年9月7日 21時