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伍拾伍話 確信 ページ18

「手、放してください」

善逸がそう言うや否や、ドガア!!!と言う派手な音を立て、部屋の襖、それから、向かいの部屋の襖が弾け飛んだ。

正確には、吹っ飛んだのは善逸だ。蕨姫花魁が彼を飛ばした。

『善いっ……善子!!』
「気安く触るんじゃないよ。のぼせ腐りやがってこのガキが」

そう言う蕨姫花魁の額には、一筋の青筋が浮かんでいる。

「躾がいるようだね。お前は。きつい躾が」

蕨姫花魁は、舐めるように睨んでくる。その表情は、悪鬼そのものだ。

「蕨姫花魁……!!」

その時、奥の方からお店の旦那さんが走って来て、勢い良く床に手をついた。

「この通りだ、頼む!!勘弁してやってくれ!もうすぐ店の時間だ客が来る……!!俺がきつく叱っておくから、どうか今は……どうか、俺の顔を立ててくれ……」

か細く言う旦那さんの後ろでは、遊女達が肩を寄せ合って震えている。旦那さんの言い方から察するに、一度や二度ではないのだろう。

「旦那さん、顔を上げておくれ。私の方こそご免なさいね。最近ちょいと癪に障ることが多くって」

すると蕨姫花魁はにっこり笑って、

「入って来たばかりの子につらく当たりすぎたね。手当てしてやって頂戴」

と言った。

善逸の方は受け身を取ったのか、軽傷だった。骨は折れていない。

私が片付けようとすると、震えていた禿の一人が、そっと近づいて来て小声で言った。

「……あの、菫さん達って、鬼殺隊……ですよね」
『!……知ってるの?』
「はい。そもそも私は、親を鬼に殺されて、ここに来た人間ですから」

ここには、色んな人が来るんだな、と改めて感じた。鬼殺隊も、遊郭も、大して変わらないじゃないか。

「鬼が居るから、ここに来たんですよね?」
『そうだよ。今のを見て、確信した。蕨姫花魁って、いつからここに居る?』
「さぁ……私は長く居ますが、詳しくは……。他の小姐(ねえさん)達も、知らないと」
『成る程ね。ありがとう』
「菫さん!」

礼を言って歩き出そうとすると、禿の子に呼び止められた。

「ご武運を、お祈りします」
『……うん、頑張る』

そう言って私は、周りと一緒に片付けを始めた。

伍拾陸話 負けられない理由があります→←伍拾肆話 蕨姫



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たまごぼーろ(プロフ) - ウォルさん» ありがとうございます!テスト期間中((←ですが頑張ります! (2019年9月8日 21時) (レス) id: 69cc3fb36c (このIDを非表示/違反報告)
ウォル - 続編おめでとうございます!!! 続き楽しみにしてます((o(^∇^)o)) (2019年9月8日 19時) (レス) id: 6d590d31fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜乃茜 | 作成日時:2019年9月7日 21時

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