(黒尾)今日も電車で貴方を見る (ページ4)

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いつものように電車に乗って

春にしてはまだ少し寒い

悴んだ手を擦りながら座席に腰をかける

電車の中は暖かくて
ウトウトと顔をカクカクさせながら
睡魔と戦うも敵うわけもなく
気がついたら寝ていた

「ねぇ、起きなくて大丈夫？」

トントンと肩を叩かれて
薄らと目を開ける

『........えっ』

その声の主は

私の大好きな人で

黒尾「電車、もう終着駅だけど」

私はどうやら気づかないうちに

この人の肩で寝ていたらしい。

『え！終着駅？！』

外を見ると薄らと暗くなってて
私は慌てて体を起こし

全身全霊で黒髪のイケメンに謝った

『すみません！！』

黒尾「ははっいいよいいよ。まだ電車あるし、
あ、ほら次は15分後に来るよ」

そう言って私達は電車から降りて反対側の駅に足を運んだ

『......』

とてつもなく申し訳ない気持ちにかられながら

電車が来るまで近くのベンチに腰をかけた

黒尾「あ、そうだこれ」

そう言われて差し出してきた学生手帳

『あ、これ私の』

そう言って受け取ると

黒尾「今日の朝、落として行ったから」

ニヤッと笑うその笑顔すら

かっこよすぎて

それが私に向けられてるとおもうと

一気に顔が赤くなるのを感じる

『ありがとうございます。すみません』

黒尾「どういたしまして。Aちゃん」

『名前...』

私は明日死ぬのかな

こんな嬉しいこと起きていいのかな

黒尾「ごめんね、中見ちゃった。あ、そだ」

そう言って黒髪の人はポッケから
自分の学生手帳を私に渡してきた

『？？』

黒尾「黒尾鉄朗。音駒高校3年、よろしくな」

私が恋をした黒髪さんは

黒尾鉄朗と言うらしい。