【あんスタ】『可愛い』魔法と王子様・短編集【逆先夏目】

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そんな時、電話がきた。あんずちゃんでも、夏目くんでもない。Switchメンバーでも、アイドルのみんなでもないそれは、中学時代の後輩からだった。



【あの……にいな先輩、大丈夫ですか？もし良ければ、私相談聞きます】



いきなりの事態に色々混乱していた私は、何の疑いもせずにOKの答えを出していた。




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「あ、先輩！こっちです〜！」



約束した日に近くのファミレスへ行けば、後輩はこちらに大きく手を振ってくれた。その後輩というのも、私に告白してくれた子であったため、少し気まずい。何てったって当時の私は断ったのだ。罪悪感を抱くのも当然である。



「大変なことになりましたね……でも、私がいるからにはもう大丈夫ですよ！」



そう言って笑う彼女を見たところ、気にしているのは私だけらしい。私は少し安心して、ストローを加えた。



『ありがとうね、お話聞いてくれて。実はちょっと不安だったんだ』

「任せてください！あ、先輩その服……」



言って、彼女は私が着ている黒のシンプルなシャツに目を向けた。



「先輩らしくてとっても素敵……」

『ああこれ。写真撮られた日に買ったの。ばかだよね、もっと気をつければよかったよ。夏目くんも私も、顔は知られてるんだから』

「随分迷ってましたよね。あの人とも仲良さげに歩いて……今も私といるのにあの人の話をしてる。にいな先輩って、私を悲しませるのがお上手なんですね！」

『え？』



何、と聞こうとしたところで、言葉を遮られる。



「あの日も、先週も、2ヶ月前も……私以外の人間と楽しそうに。告白した日もそうです、人生で一番勇気出したのに。せめて高校は同じにしようと思ったのに、男子校に行くなんて。今日も、ほら……」



そう言って彼女が指を刺したのは私の背後、そっちを恐る恐る見てみれば、眼鏡と帽子をかぶった夏目くんが、こっちを、正確には私の後輩を睨みつけていた。



「あの人につけまわされてるなんて、かわいそうな先輩……」



そして彼女が見せた携帯の画面には、SNSに出回っている写真と同じもの、それに加えて、同日に撮ったであろう私達の写真が何百枚も保存されていた。

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