1番人間らしい君 ページ41
張り詰める緊張感。
ダラダラダラダラとひたすらに流れるドラムロールの音。
あれだけギリギリの演出を行ったので本当に正直賭けだった。
手を組み、祈るようにギュッと目を瞑る。
<
嫌に引き伸ばすこの瞬間は本当に好きじゃない。
たらりと流れる汗。
それさえも拭いている余裕があたしにはなかった。
尺が長すぎて、もはや涙さえも出てくる。
隣の泉さんを横目に見れば、なんだか清々しい顔をしてた。
ダン!とドラムロールが終わりを告げる。
同時にスポットライトに照らされたのは
「「「「『!!!!!』」」」」
一気に周りが明るくなる。
眩しい。
熱さえも感じた。
溢れる歓声。
選ばれたのだ、このジャッジメントの勝者として。
6回に分けられた戦いでの勝敗は同率。
偶数なのでしょうがない。
最終的な勝敗は、ペンライトからの投票だった。
「勝った!勝ったよ、A!!やった…!」
柄にもないはしゃぎ方をして抱きついてくる凛月くん。
嵐ちゃんは涙目になりながら、泉さんに抱きついていた。満更でもなさそうだ、嬉しそう。
ただ1人、今回の鍵となっていた末っ子すーちゃんは下を向いたまま、あたしに許しを乞う。
「お姉様に負けるな、と言われたにもかかわらず、一瞬の隙をつかれこのザマです…紳士として、女王陛下に仕える騎士として、有るまじきことをしてしまいました…。」
勝利したからゆえなのか、負けていたとしても彼の態度はわからなかったのだろう。
「っ…?!お姉、様…?」
その大きな瞳に涙をいっぱに溜めてしまうこの子はきっと泣き虫さんだ。
あたしは凛月くんをちょいちょいと手招きしてこちらに呼び、一緒に抱きしめるよう促す。
「凛月…せんぱ…?」
我慢の限界か、うええええん!と泣き出してしまった。
溜めるなんかより、こっちの方がよっぽどいい。
みっともなく喜びながら泣く末っ子すーちゃんは今までのどんな君よりもずっと人間らしい。
と、喜ばしい風景だけれどもあたしの目的は果たされていない。
インカムがおんになってることを確認してあたしは声を出す。
宛先は"月永先輩"だ。
.
184人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さりな(プロフ) - パスワード教えて下さりますか? (2019年9月7日 21時) (レス) id: d6387d6472 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さゆな x他1人 | 作成日時:2019年6月1日 13時