王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ16)

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皇帝とお姫様ページ16

真緒くんに生徒会室まで連れてきてもらい、いざ、コンコンノックオープン！

コの字型に配置された高そうな机。
真ん中にはさらに高そうなそれと椅子。

生徒会としてこんな所にいたらいつか庶民のあたしはタヒっちゃうんだろうな。

「急に呼んで済まないね、Aちゃん。」

あたしに声掛けたその人は、例の高そうな真ん中の机に座っており、そのオーラは凄まじい。

寒気がする。

同族嫌悪とは違うけど、似たようなものなのだろうか？

お姫様という異名をつけられたあたしのように、この人もなにか、大役を背負っている気がした。

『あ、あの…なんの御用で…。あたしを呼んだのは度し難いの人じゃないんですか…？』

この言葉に周りの人がふいた。
もちろん、クリーム色の髪をした、真ん中の彼も。

ただひとり、緑髪の人はメガネをクイッとあげ眉間にシワを寄せる。
そして度し難い…と呟いたのだ。あ、察し。

『ええっと…？その度し難さんに呼ばれたつもりでしたけど…本当に用があるのはあなたですね？』

真っ直ぐ真ん中の彼を見れば、物分りのいいお姫様だ、とあたしを手招きする。

ドアに近いところで突っ立ってたあたしは、小走りで彼の目の前に行けば、単刀直入に言う、と一言添えられた。

「君はたくさんの才能に恵まれているね。今度の君のお披露目ライブ、Knightsではなくfineとして出ないかい？」

『え、。？』

fine？とは…確か、革命組に負けた生徒会最有学院最強だったユニ…だっけ？？

頭の上でクエスチョンマークを浮かべれば、察しはいいけど国語力はそんなにないのかな？とにこやかに吐き捨てられる。

はあ！？これでも作詞作曲お姫様ですけどぉ！？とキレそうになるが隣の度し難さんが怖すぎて声すら出ない。
メガネの威圧は凄い。

「ああ、そうだ。僕の名前は天祥院英智。夢ノ咲に君臨する病弱の皇帝、だよ。」

いや、そこで自己紹介する普通！？

って…皇帝？
あたしはここでハッとする。
あぁ、あなたもやっぱり異名を持ちなんだね、って。

『…。これはこれは、皇帝陛下。脳内での数々の無礼、お許しください。』

本当のお姫様がするように、まるでドレスを着ているていで、優雅にお辞儀をしてみせる。

『恐れ多いのですが、皇帝陛下。わたくしは貴方のお誘いに興味を示せないでいます。格下の身分ですが、貴方のお誘い、お断りさせていただきます。』

微笑みながら言えば彼はクスッと不敵な笑みを浮かべた。