先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ34)

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ライブが終わり、会場は退席する学生や外部の人間でガヤつく。

「やっぱおれの妹は最高だったな！今日も可愛かった！」

目の前を歩く王様は、ライブの熱がまだ残っていて、両手にペンライトを持ったままニッコニコの笑顔を見せた。

隣を歩くま〜くんはやけに静かで、王様の言葉に「可愛かったっすね」って控えめに笑った。

「おれ、今からAの楽屋に行くけど。おまえら、どーするんだ？」

不意に、クルッとこちらに向き王様は首を傾げる。

「月永先輩、先行っててください！俺たち後から行くんで！」

「えっ」

俺たち、とは俺とま〜くんご本人のことで。

行った行ったとま〜くんは王様の背中を押した。

そして、王様が見えなくなって気づけば周りにも人が居なくなったとき。

俺の幼なじみは真剣な顔で俺の方を向く。

「凛月」

「なぁに、ま〜くん。」

「単刀直入かつ手短に言うんだけどさ。」

「うん。」

「...」

「なぁに。」

一瞬下を向いて黙るま〜くん。
言いたいことはきっとAの事で、俺はあの子が好きだ〜とか言いたそう。

ま〜くんは優しいから、抜けがけとかできなさそうだよね。

「...やっぱり思うんだけどさ！告白するのは男からの方がかっこいいと思うんだよな！」

「え」

パッと顔を上げて本気の目で幼なじみは語りかけてくる。

思っていた事とは違う内容で思わず拍子抜けな声を出したけど、つまりは男から告白した方がいいよな？って相談なのかなぁ。

「だからさ、りっちゃん。」

「うん」

「女の子を待たせるのって良くないよな。」

そう言ってはにかむま〜くんは、行けよって俺の背中を押す。

違う、あの子が好きなのはま〜くんなのに。

それを知らない幼なじみは、恋のキューピッドになったみたいにグイグイ背中を押しては勇気だせ！なんてお節介を焼いてきて。

段々それがウザったくなってきたから、ま〜くんの方に向き直って目を見て

「後でとられたって言われても返さないから。」

そう言って俺はAの楽屋に一直線に走り出す。

「________」

後ろでま〜くんがボソッと何かを呟いた気がしたけど、俺は振り返らないで楽屋まで走った。

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