先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ30)

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『お渡ししたい物があるんです。』

あたしは後ろに隠し持っていたソレを先輩にさしだした。

少しばかり震える自分の手に、クシャっとならない程度に力を入れる。

それでもやっぱり緊張はするもので。

早く受けとって、と今度は目をキュッとつむった。

「これ…」

先輩は一瞬驚いたような声を出して、次に受け取る。

受けとって貰えた！と顔をあげれば、先輩はフッと優しくそして軽く微笑んだ。

うん、好き。今日も好きです。

「決まったんだ、ライブの日。2/14ね、バレンタインライブ？……って来週じゃん。」

微笑んだ、そう思ったら次は少しばかり悲しそうな顔をされた。

___どうして。

「俺じゃなくてま～くんに渡してあげたら喜んだのに～…Aって王様とは正反対でウブなんだから。」

どうして。
なんでそこでサリー先輩が出てくるのか皆目見当もつかない。

確かにチケットは2枚入れてある。間違いなく、先輩とサリー先輩の分。

だけれど、あたしの好きな人は貴方で、貴方に見て欲しいからとそのチケットを手渡ししに来たのに。

仲介人

そう思われたのかもしれない。
もし、先輩が「あたしの好きな人はサリー先輩」だって勘違いしているのなら。

そう思うとジワジワと悔しさが込み上げてくる。

『先輩』

「なぁに、A」

『今日の放課後、最後にあたしの恋愛相談…のってくれますか？』

最後

来週のライブが終わればあたしは先輩にこの想いを伝える。
伝えたい。

「…いいよ、俺が背中を押してあげる～…♪」

また欠伸をしながら先輩は頑張ろうね、とあたしの頭を撫でた。

心苦しいせいか、先輩からのボディタッチも今日だけは嬉しいよりも悲しくなってしまった。

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