先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ28)

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楽しい時間はあっという間に過ぎていって気づいたら空は真っ暗だった。

どうやらこの後はパレードがあるらしい道付近ではぞろぞろと他のゲストたちが場所取りをしている。

「A、迷子になりそうだからつかまってていいよ。」

そう言って先輩は手を伸ばした。
確かにその手はあたしに伸ばされている。

心臓が一気に跳ね上がったのが自分でもわかった。
それと同時にキュッと締め付けられる感覚も覚えた。

先輩からお誘いされた今日のデート
どうやら生徒会長先輩とあんず先輩が私たちに手を回してくれたみたい。

今朝方、生徒会長先輩から「本当は貸切にしてあげたかったんだけどね。転校生ちゃんに止められちゃった。」なんてLI○Eが来てたんだよね。

「A」

『ふぁっ…ひゃい。』

「寒いの？」

『い、いえ…その大丈夫です。』

なかなか手を握らないあたしに疑問を覚えたのか先輩が顔を覗き込んできた。

ふいに名前を呼ばれるのは本当に心臓に悪いの。

ねえ、あたしの好きな人。あなたはあたしを昇天させる気ですか？

失礼します、とあたしはそっと手を握る。

……暖かい。

あたしの手をゆっくりと引いて前を歩く先輩は、日が落ちた夜だからなのか、昼間よりも先輩は元気そうに見える。

「ここら辺空いてるしいいんじゃない～…？」

『……ですね。』

ふぁ～と欠伸をする先輩
パレードを見たいとワガママを言ったあたしに付き合ってくれて場所まで見つけてくれたみたい。

「空いてるのはいいけど…なんか気まづいよね。」

『え…？あ……確かに』

先輩に言われて周りを見ればカップルだらけだった。

先輩は「なんか、ごめんね」と少し苦しそうに笑った。
いつもの気だるげな先輩とは雰囲気が違ってそんな所にもドキドキしてしまう。

あたしは別に、カップルと勘違いされてもいいんですよ？

なんてそんなこと言えるはずもなくて。

離れた手に寒さを覚えて、はぁっと優しく息をかけてあっためる。

気づけば12月。
先輩を好きになった4月から8ヶ月
も経っている。

ダイレクトアタック型の兄とは正反対の恋愛の進み様だ。

「今回だけ特別。王様とかま～くんにはナイショだかららね～。」

そう言って先輩はまたあたしの手を握ってスポッと自分のコートにあたしの手共々突っ込んでいった。

「あったか～い。人間の体温って高いよね～。」

そう言いながら優しく微笑む先輩をみて、あたしの中で何かが混み上がってきて、

『先輩、あたし___』

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