#175 ページ33
最近、明らかに増えている。
赤羽くんを見送ってから、彼の背を叩いたその手をきゅっと握る。
彼の向かった先こそ知らないが、何をしに行ったのかは知っていて……。
というのも、彼が下駄箱に入っていたその手紙を徐ろに開封したのは私の目の前だったのだ。
またか、と溜息混じりにこぼしたその声には明らかな疲労が伺えた。
「最近増えたな」
私と同じ事を感じていたらしい浅野くんの独り言の様な呟きに、私は苦笑いした。
何が増えたのか……何て聞いたら、流石に態とらし過ぎるだろうか。
「……今までは不良だから近寄り難かったんでしょう。
現金な人達ばかりじゃない?」
終わらせた書類を持って浅野くんの前の席に横向きで座り脚を組む。
はい、と渡せば彼は苦笑いをしてから受け取り、その中身を確認した。
「本当に仕事が早いな君は」
「書類仕事なら夏休みに散々鍛えられたの」
パーティ参加の後父にしごかれたのは、その時こそ投げ出したいくらい辛かったが今では良い思い出だ。
おかげで今楽が出来ている。
時間が空いたし赤羽くんのでも手伝っておくか、と今まさに増えようとしているそれを代わりに受け取った。
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緋景(プロフ) - いつも楽しく見させていただいてます。続きが気になる素敵な作品です。お忙しいかとは思いますが、更新たのしみにしております! (2024年9月19日 21時) (
レス) @page12 id: 2441f77948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2024年7月24日 0時


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