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榊原くんが戻ってきたとはいえ、期末テストも終わった私達に待っているのは夏休み。
中途半端な時期だと首を傾げた私に、彼は流れる様に『1日でも早く皆に会いたかったからね』とその愛想を振りまく。
別に言えない理由など無いだろうが、あえて話をそらすあたり喰えない男だ。
苦笑いしながら指折り数える事数回、ついに高校最後の遊べる夏休みがやってきた。
……まあ、私は遊びに行く予定も無いし、普段通り勉強にでも励む事になるだろうが。
そうでなくとも今年は旭の後継者という事で、各方面からパーティーに招待されている。
遊ぶような時間はスタートが遅れている私にはそう無いだろう。
ものぐさ教師のHRも終え、さて帰って夕飯は何にしようかと考えつつ鞄を肩にかけながら立ち上がる。
「旭、悲報だ」
「宣言されたからって聞かないですから〜」
帰ろうとする私に待ったをかけたのは、何やら1枚のプリントを片手に持って振り返った浅野くん。
何だか嫌な予感しかしなくて(そもそも悲報とは言っていたが)さようなら、と逃げようとする私の腕を掴んだ彼は、手に持っていた紙を私に押し付ける。
「やあね、そんなもの見たくないに決まってるでしょう?」
「だったら読み上げてやろう」
「何でそうなる!!」
いやいや駄々をこねたところで彼が見逃してくれるはずもなく。
渋々受け取った紙に書いてあるのは学級委員が強制的に学校に集められる会議の日付。
補講の生徒並の日数の多さだ。
「私補講取ってないんだけど。
態々学校にこれだけ来いって言ってるの?」
「残念ながらそのようだな」
「しんっじられない。
誰よこんな馬鹿な事考えた無能」
「会長以外にいないだろう。
お前は普段収集に参加しないからわからないだろうが、夏休み明けの文化祭に向けてやけに張り切っているからな」
「あれがまだ続いてる事の方が驚きを隠せない」
最近不参加については何も言われないから諦められていると思っていたのだが、浅野くんはここぞとばかりに皮肉を混ぜて吐き捨てた。
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緋景(プロフ) - いつも楽しく見させていただいてます。続きが気になる素敵な作品です。お忙しいかとは思いますが、更新たのしみにしております! (2024年9月19日 21時) (
レス) @page12 id: 2441f77948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2024年7月24日 0時


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