#167 ページ25
まだしらを切り通せると思っているらしい。
先程見えた焦りはやがて消え、証拠なぞ出せる訳がないのだと言わんばかりに落ち着きから嘲笑へと変わる。
いったい、その自信はどこから来るのか。
「パスワードがかかっているパソコンから、データを抜き出したって?
生徒会長に与えられるパソコンはログインに二段階認証を求められる。
僕以外に使えるはずが無いんだよ」
余裕たっぷりの笑みで座り直し両手を組む会長に、そんな事私は知らないと隣の赤羽くんを見上げる。
丁度こちらを見下ろしていた彼と目が合うと、彼はやれやれ、とでも言いたそうな顔で会長のパソコンを持ってきた。
「はい、開いてるけど?」
画面を向けた赤羽くんに、漸く会長の表情が崩れた。
好奇心に駆られそっと横から覗いてみると、本当に二段階認証を突破して開かれている。
理屈はわからないが……これって彼は大丈夫なんだろうか、と今更過るが知ったこっちゃない。
印刷したデータを画面でも写す彼に、完全に王手がかかったのを誰もが理解する。
しかし、ここで素直に認めるようならばそもそも着服なんてしていないだろう。
仕事の非効率からこんな事にまで話が広がるだなんて、私だって思ってもいなかった。
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緋景(プロフ) - いつも楽しく見させていただいてます。続きが気になる素敵な作品です。お忙しいかとは思いますが、更新たのしみにしております! (2024年9月19日 21時) (
レス) @page12 id: 2441f77948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2024年7月24日 0時


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