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#158 ページ16

「私よりも彼の方が適任かと思います」


人を売るなという小言は聞こえないふりをし、浅野くんを推薦する為さり気無く彼の背を押してみたが、これがびくともしない。


こいつ、力入れやがったな。


舌打ちをしそうになるのを堪え、再び会長に視線を戻す。


そもそも自分がすればいいだろうと言いたいところだが、彼は夏休み明けからは後進教育に努めるなどとのたまっていた為却下されるのは必然。


とにかく人を売ってでも逃れてやる、ともう一度口を開きかけ……


「否、君にお願いするよ」


と、押し付けられたのは司会進行の台本。


「彼は育てるまでもない程の経験を既に積んでいるみたいだからね。
これで君にも少しは自覚が芽生えてくれればいいんだけど」


苦笑した会長は、私の返事なんて必要無いとばかりに踵を返した。


「……植えても無い種がどう芽生えるのか、是非教えてもらいたいものだわ。
ねえ、浅野くん?」


そうでしょう、と同意を求めるが、返ってきたのは溜息だけ。


その態とらしい口調をやめろ、と軽く頭を小突かれ、顔で全力の不機嫌を表す。


「日頃サボるからだろう、自業自得だ」


「浅野くん、早く会長になって」


「僕が会長になっても君に司会進行をしてもらうことにしよう」


「この鬼会長」


「まだなっていない」


私も浅野くんも、会長の座に誰がつくのかなんて疑いようの無い事実として認識している。


後はどれだけ早く現会長を引きずり降ろし、理事長の作った校則を破り捨てるかだ。


忙しくなりそうだ、と呟いた私に、浅野くんは少し目を丸くしてから曖昧に笑う。


「暫く迷惑をかけるが……」


「あら、その為に今まで私より多く仕事を引き受けてきたんじゃないの?
"暫く"の迷惑くらい、目を瞑ってあげる」


今度こそ面食らった顔が戻らない彼に思わず笑ってしまう。


だいたい、浅野くんともあろう者が集会に一切顔を出さない私を放っておく訳がないのに。


意外とバレバレな行動をする彼に、期待してるとだけ態とらしく告げてやった。

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緋景(プロフ) - いつも楽しく見させていただいてます。続きが気になる素敵な作品です。お忙しいかとは思いますが、更新たのしみにしております! (2024年9月19日 21時) (レス) @page12 id: 2441f77948 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:聖泉りか | 作成日時:2024年7月24日 0時

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