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#157 ページ15

「那央ちゃん、久し振りだね」


浅野くんと2人、並べる椅子の確認をしていると声をかけられ、眉根を寄せながら振り向く。


無関係な筈の浅野くんまで居心地の悪そうな顔をするくらいなのだから、私はもう今にでも叫び出したいくらいだ。


「なお、ちゃん……」


「旭、お前何をした?」


「私が何もしてない事なんて貴方が一番知ってるでしょ」


小声で言葉を交わし、鳥肌の立つ腕を擦る。


「なん、ですか?」


引き攣る頬を何とか誤魔化しながら、私の事を気色悪く……は言い過ぎかもしれないが、下の名前でいきなり呼んできた会長に尋ねる。


そこまで貴方と距離を詰めた覚えはないですが、とは言わなかったのは褒めてほしい。


「今日も集まり来なかったね。
そんな気はしてたけど」


「……すみません、電車が遅延してたので」


さっさと本題に入ってくれ、とは言わず、かわりにバレバレな嘘をついて流す。


仕方のない後輩だと言わんばかりの表情に、私の事をわかっている感を出すなと返してやりたい。


「式の進行の子が喉を痛めて声が出ないらしいんだ。
代わってくれないかな?」


「え、嫌です」


「旭」


「おっと」


つい口から本音が、と態とらしく口許に手を当てる。


浅野くんに咎められ、会長には笑って誤魔化す。


この術に関しては以前、赤羽くんのお母さんにこっそりと教えてもらったもの……。


誰もが誤魔化されてしまうと言っても過言ではない、話題から逸らすための微笑みだ。


……まあ、先程の浅野くんには効かなかったわけだが。


会長が相手なら余裕で誤魔化されてくれるだろう。


さてどうしようか、と視線を彷徨わせ、他に方法はないだろうと浅野くんの隣に並んだ。

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緋景(プロフ) - いつも楽しく見させていただいてます。続きが気になる素敵な作品です。お忙しいかとは思いますが、更新たのしみにしております! (2024年9月19日 21時) (レス) @page12 id: 2441f77948 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:聖泉りか | 作成日時:2024年7月24日 0時

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