黒に染まる４【ハイキュー】【マフィアパロ】

拒否 ページ26

予測していた、とはいえ


いざ、目の当たりにすると


体が動かなかった。




『は、いりま、せん…』




やっとのことで出た声も


イタチに届いたかは分からない。







面を上げれば


こちらをじっと見つめる黒髪。




「…そう」




とだけ、茶髪が静かに呟いた。








，








しばらくして茶髪が大きなため息をついた。




「Aちゃん欲しいんだけどなー

どうしても駄目なの？」




項垂れる茶髪を横目に黒髪が言う。




「大人しく従った方が身のためだと思うけど」



「そうそう！Aちゃんにも君の仲間にも

手出さないって約束するよ？」




どう？なんて


あまりにも胡散臭い笑顔で


茶髪が尋ねた。






『…約束…か、』



「ん？」






約束。


もう一度、黒尾さんと結んだあの約束。


今度こそ


絶対に、帰らなきゃ。








『生憎…先約があるので。




お断りします』








今度ははっきりと、茶髪の目を見つめて言い放つ。




不思議と震えは止まっていた。


そうだ、私は


自分の仕事を全うしなければ。


信ちゃんを、守るために。


あの場所に、帰るために。




「……諦めろ元也」



「しょうがないかぁ、」




キズ物にしたくなかったんだけどね


そんな声が聞こえた。

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