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母なるテレサ ページ5

*









「笑って欲しいんです、あなたに。」




俺の事情なんて何も知らないはずなのに、なんでそんなことが言えるんだろう。



なぜこんなにも、この人の言葉に濁りを感じないのだろう。



曇りきった自分の胸に、痛いほど真っ直ぐ突き刺さって、抜けきらない。



目の前の君の笑顔に、呆れた笑いがこみあげる。



それは、決して嫌な笑いなんかじゃない、もっとこう、日常的な。




久しぶりに溢れ出した、自然なジョーク。





「君は、テレサザマザー?」





そんでもって、意味をよく理解してないぽかんとした顔が、



むかついて、



むかついて、なんだか安心する。




冗談だよ、そう言うと、さっきまでぽかんと口を開けたくせに、



肩をすくませて、凹んだふりをする。



嬉しいのか嬉しくないのかどっちだよ。





「俺の話、聞いてくれるの?」




胸苦しいだけの男の恋愛話に、ただただ付き合ってくれるっていうの??


俺のことなんてなんにもしらない女の子が?





「ぜひ、聞かせてください」




きっと君のトレードマークであるにんまり笑顔で、



大きく君は頷いた、





「なんにも面白くないかもよ?」





君はまた頷く。





「俺の自己満足なだけの語りかもよ?」




君はただ頷く。



頷いて、





「全部聞きます、」




「あなたが話すことを嫌がるまで、全部」






なんて、胸をはる。






すでに俺の心は君に口を開きかけてるよ。







「参ったな」








呆れた笑いを引き出すのが上手いみたいで。









*

名前も知らない→←正反対なキミ



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作者名:坊ちゃん | 作成日時:2020年2月15日 0時

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