スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ12)

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episode57 ページ12

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結局あの後も紫耀くんからの返信は来なくて、

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朝いつものアラームで目が覚めて
スマホを見ても新着メッセージなし。

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朝起きたら1人ってことも

不規則な生活をおくる紫耀くんとの同棲生活の中では
全く珍しいことじゃないのに

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パンとコーヒーを食べるテーブルがやけに広く感じたり

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時計の針の音が大きく感じたり

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あの写真のことが気になっているからか

寂しさまで倍増して

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家にいるのが苦しく感じて

いつもより早い電車で会社に向かう。

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少し時間を早めただけで
通勤ラッシュを少しだけ回避できて

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快速の始発駅になっている最寄りからなら
ゆったり座れちゃって

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隣に座る女子高生が
「朝練終わったら一緒に食べよ」って
仲良くお菓子交換しているのを眺める。

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微笑ましいなぁ

と思ってた矢先に

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「ねぇ、そういえば彼氏と別れた」

「は？なんで？」

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なんてダークな話題にころっと変わって

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聞き耳なんて立てて、良くないのはわかってるけど

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「あいつ、部活っていってた日に後輩の女の子と遊んでたんだもん。マジ無理じゃない？」

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なぜか胸がちくりとする。

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次の駅が学校のある駅だったようで
女の子たちは降りていったけど

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“隠れて別の女の子と会う…”

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その部分がやけに引っかかる。

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ちがう、

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紫耀くんは仕事で名古屋に行ってるんだし

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第一、あんな風に写真まで送ってくれて
何も隠してないし

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そんなわけ、ない。

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そう思うのに…。

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なぜか頭には昨日の写真の

紫耀くんの隣にうつる女の子の笑顔が浮かんで

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多分私なんかと出会う前に紫耀くんと出会っている

私とは違う関係性のその子に

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なぜか嫉妬までしちゃって

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年甲斐もなく、惨めだなぁって
嫌気がさす。

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職場についても気持ちは晴れなくて

「どうしたのA？調子わるい？」

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理央に心配される始末。

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明日の夜紫耀くんが帰ってきたら
どんな顔で出迎えればいいんだろう。

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「たのしかった！」って帰ってきたら
笑顔で「おかえり」ができる自信がなくて

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「なに？…もしや年下彼氏の“しょーくん”と喧嘩ですかぁ？」

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ため息が止まらず理央も呆れてる。