スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ10)

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episode10 ページ10

時計の短い針が
てっぺんから少し傾き始める。

「ねぇ、紫耀くん」

「ん？」

「いつまでこうしてるつもり？」

さっきから、
紫耀くんの胡座の中に閉じ込められたままだ。

わたしはその場所から深夜のバラエティ番組をぼーっと眺めて

紫耀くんはマネージャーさんから送られてきた明日の予定をスマホで確認中。

「いつまで？ずっと？」

なんでわたしが質問したのにあなたが疑問形なのよ。と思いながら

「お風呂は？」
「リハ終わりに入ってきたよ。くさい？」
「くさくない(笑)」

むしろ、ふんわり香る香水のような甘いにおいと
体温の高い男の人のにおいが混ざったような
落ち着く、“紫耀くんのにおい”がして

くるりと向きを変えて
分厚い胸に頰を寄せるように抱きつくと

「どしたの？急に」

「ううん、なんでもない」

「赤ちゃんになっちゃった？」

どちらかといえば私より、紫耀くんの方が
無邪気な赤ちゃんっぽいけど…と思ったけど

「うふふ、うん。(笑)」

ふざけて頷けば
背中を撫でてくれる手のひら。

「子守唄歌おうかな」

「歌ってくれるの？(笑)」

「…せーの、君はシンデレラガール「待ってそれ子守唄？」」

「子守唄って静かに歌えばなんでもいいんじゃないの？」

だからちょっと小さい声だったのか(笑)

やっぱりなんかおかしくって
肩を震わせて笑えば

「え、ちょっとAさん、俺のこと馬鹿にしてるー？」

「へっ、ちょっと！してない！してない！…きゃ！やめて！(笑)」

くすぐり反撃に合って

結局、

「明日朝早くないの？」
「７時起き…起こして」

2人でベッドに入った時には
短い針は1を指していたのでした。