スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ50)

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episode47 ページ50

約束の日はすぐにやってきた。

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結局彼に急遽入った仕事があったりして、

「Aさん、おつかれさま。おまたせ」

彼と落ち合えたのは日が暮れてからだった。

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日曜日の夕方、
こないだ送ってもらったコンビニの駐車場に見慣れた黒い車が迎えにきてくれた。

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「今日はチョコ屋さん行けなくてごめんね？」

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彼のせいでもないんだけど
「行きたかったよね…」
ってちょっとしょんぼりしてるのが可愛い。

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「んーん、チョコはいつでも、1人でも行けるし！

…ところで、今日はどこにいくの？」

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この間の電話の最後、

「どこに行くかは俺にまかせて！」

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そう言って電話を切ったきりは
時間の業務連絡しかしてなかったから車に乗り込んだ今も私は目的地を知らない。

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「あんま人がいないとこ！俺もAさんもお互い気を遣わなくていいようにね！」

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はっきりとした目的地はわからないけど

車は着々と都心を離れていく。

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運転中
彼は私に沢山の質問をしてきて

「じゃあ平野さんは？」

なんて聞き返すと

「何で急に平野さん呼びになったん？！紫耀くんって言ってくれたやん！」

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急に距離を取ろうとした私を
またぐっと引き寄せる。

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話せば話すほど

外見とは良い意味でギャップのある
彼の柔らかい雰囲気に飲まれて

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私のなんてことない話を
ニコニコしながら聞いてくれる彼に
まんまと良い気分になっていて

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気がつけば周りは自然だらけ。

「あそこでご飯たべるよ！」

少し先に見える小高い丘の上に
一箇所だけキラキラと光る場所があって

「…お店なの？」

「そう、たまーにジンたちと行くんだ」

「ジン？」

「あ、っと、友達ね。やっぱ、人目気にすると伸び伸びは出来ないっていうか…それでこうやってプチ田舎に来たりすんの。」

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お店はこんな自然の中、
お洒落だけど入りにくさのないカフェのようなウッドテイストの建物で、

ちらほら他のお客さんも来てるけど
席と席の間隔が広くて会話を聞き取ることはできないくらい

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中でもより隔離されたテラス席に通してもらって

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「きれいだね」

「ね！いいよね！でもAさん寒くない？大丈夫？」

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「んふふ、紫耀くん本当にやさしいよね」

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言われなれているだろうに

「…そう？」

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なんだか照れた顔で目を伏せるから

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意外とピュアなのかも…
なんて思ってる自分がいた。