スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ28)

今日:11 hit、昨日:32 hit、合計:264,338 hit

#break time ページ28

#break time
Aさん目線で進む本編をすこーし離れて紫耀くん目線のお話です。

・

・

－－－－－－－

・

ここのところのAさんは

「…ただいま。」

・

とっても忙しいらしい。

・

・

仕事が立て込んでいるらしく、

「ごめん、ご飯作れない…」

テーブルの上に並べられるデパ地下のお惣菜を

申し訳なさそうにお皿にとる姿はすっかり疲れた様子で

・

・

「紫耀くん、先寝てて？」

紫耀くん忙しいんだし。って、
家に帰ってからもパソコンに向かうAさんを残してベッドに行けない俺を

・

自分は忙しくないかのように気遣って

・

「……よし。」

俺がベッドに入ったのを確認すると、
小さくそう呟いて書類とにらめっこしてる。

・

有り難いことに
俺も1日オフなんて日はなく働かせて貰ってるけど

少しだけ開けたドアの隙間から見える
頑張るAさんの背中を見て、

・

俺が何日も家を開けた時のAさんは
こんな感じやったんかな？
こんな風に寂しく感じてたのかなって

少しだけ心がギュっとした。

・

・

「…行ってきます」

「今日何時？」

「わかんない…多分遅い」

「俺夕方までやから迎えにいくよ」

「…ううん。待たせると悪いから平気」

朝、忙しなくメイクしてスーツ着て
家を出て行くAさんに声をかけたけど
また俺を気遣って断られてしまって

・

夜遅く、終電で帰ってきたAさんが

なだれ込むようにベッドに入ってきたのを

また、遅いのに連絡しなかったやん！なんて
咎めることはできなくて

・

ただ、間接照明に照らされる華奢な背中に

…触れたくて。

「……紫耀くん？」

そっと近づいてここ最近でグッと痩せてしまった身体を抱きしめた。

・

「ねぇ、紫耀くんったらどーしたの？」

抱きしめておいて何も言わない俺を
不思議そうにしてるAさん

抱きしめる腕に力を込めて

「なぁAさん。たまには本気で甘えてもええねんで？」

・

そんな風に耳元で囁くと、

ポッと赤く染まる頰がかわいい。

「しょお…くんっ」

・

振り返ったAさんが俺にしがみつくように腕を回す。

密着した身体。

どことかしとも柔らかくてふわふわで。

「ごめん、なーんて言っといて本当はただずっとAさんに触れたかってん。」

俺が笑えば
Aさんも小さく笑った。