スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:264,468 hit

episode14 ページ14

ジンくんがシャワーから戻ってくる頃には

すっかりご機嫌の紫耀くんは
私の隣に座って
ニコニコお笑いのテレビをみてる。

シャワー前に機嫌が悪かったはずの紫耀くんが
あまりにもご機嫌なのをみて

「あれ、紫耀なんか魔法かけられたの？」

ジンくんが言うと

「へっ？魔法？」

理解できてない紫耀くんがポカーン。

「紫耀、やたらご機嫌だからなんかあったの？ってこと」

噛み砕いた説明に電球がピコンと光ったように納得した顔をして

「あーそういうこと？……んふふ。ジンには内緒～」

「どうせAさんでしょ？」

「……はっ！？」

紫耀くんの方が、ジンくんより歳上だし
多少はしっかりしてると思うけど

こういうところは純粋さの塊な紫耀くんに
ジンくんは
「お見通しだわ」ってニヤリと笑った。

・

・

数時間後、
送迎車がマンションの下についたらしく
紫耀くんのスマホが鳴って

「じゃあ行くね」
「Aさん、ありがとうございました！また来ますー！」

2人がまた仕事のために部屋を出て行く。

先に靴を履き終えたジンくんは

「俺、先に下行くから！笑」

気を遣ってか
最後にもう一度深々頭を下げた後そそくさと出て行った。

「紫耀くん帰りは何時？」

「そんなに遅くないよ。9時頃には帰れると思う」

「じゃあ待ってるね」

「今日一緒にお風呂はいる？」

「……入りません。」

それをいいことに、
名残惜しい時間を玄関で過ごしてる私たち。

「じゃあそろそろ本当に行くわ、じゃね。ちゃんと鍵してね？」

「うん、いってらっしゃい」

最後にもう一回だけ、
紫耀くんを背負った黒いリュックごとハグして

玄関を出て行く背中を見送った。