私には悪魔がついているⅡ (ページ11)

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ついた場所は落ち着いた雰囲気のお店。
どうやらおしゃれなバーのようだ。

向「ここ忘年会とか飲み会とかで使ってんねん」
『そうなんですね』

慣れた様子で入っていく向井さん。
中は少しくらい照明の落ち着いた感じでカウンターと個室に分かれていた。

「あれ、康二くん今日は女連れ？」

入った途端に声をかけられたのはこれまた顔の整ったバーテンダーさん？
向井さんはそれにニヤリとする。

向「ラウ！ちゃうちゃう、後輩やねん」
『こ、こんにちは』

少し頭をさげればニコリのきれいな笑顔を向けられた。
店内はお客さんはおらず、私と向井さんだけで静かだ。

ラ「美人さんじゃん！やるねぇ！！」
向「やから後輩やって言うてるやん！」

2人のやりとりを見ていて笑顔がこぼれた。

その反面。

いつしかの目黒との会話を思い出し…

向「えっ！Aちゃん！なんで泣いてんの！？」
『え？』

頬に触れれば濡れていた。
急いで止めようとするがうまくいかない。

『す、すみません』

ごしごしと瞼を擦るとバーテンダーさん。
ラウールさんの声が飛んできた。

ラ「擦っちゃだめ！赤くなちゃうよ！」
『え、あ、すみません』

咄嗟に謝るとアイスピックで削っていた氷をそのまビニールに入れタオルで包んで私のところまで持ってきてくれた。
目の前に立つ彼は背も高く、銀髪がとっても似合っている。

ラ「これで冷やして」
『ありがとうございます』

ニコリとまた笑顔を見せてくれた彼。

ラ「康二くん、ダメですよ、女の子泣かせちゃ」
向「えっ、俺！？」
ラ「康二くん以外に誰がいるの？」

パシンと向井さんの背中を叩いた彼。
今度はいたずらっ子のような笑顔を浮かべて私を見る。

ラ「ラウールっていいます！ここのオーナーが知り合いでは手伝いしてます！」

右手を差し出された。
それを握り返しながら私もそれに倣う。

『田中Aです。向井さんと同じく刑事課で新人です』
ラ「Aちゃんね、僕のことはラウでもラウールでもお好きに！」
『えっと、じゃあラウールさん』
ラ「ダメ！」
『んーと、、、ラウさん？ラウールくん？』

まだダメか…なぜか鋭い目を向けられている…

『ラウくん』

そういえば満足そうに笑うラウくん。

ラ「Aちゃんかわいすぎ！」

そう笑うと私の頭をポンポンと撫でた。
初対面だけど不思議と悪い気はしなかった。