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29話 ページ35

「死因全部試してみたくない?」

「みたくなぁい…
協力させようとするなよ、私は罪の無い人は殺さない」

「え〜残念。Aは優しいね」



ははは、と笑っている。

確かに真人と私なら、あらゆる死因を再現出来そうだけど。



「読んでるとき背中がゾワゾワしたんだよ。私あんまり耐性ないのかも」

「呪霊なのに?」

「人間のときの話!」



私は、人殺しだけは絶対にしない。

そんなことをしてはただの呪霊だ。
呪霊なのに変わりはないけど、心だけは綺麗でいたい。



「せめて呪詛師……あ」

「どうした? A」



頭に電気が走る感覚。

式神からの合図だ。



「呪詛師見つかったって」

「そ。いってらっしゃい」

「うん」



見つけたのは白虎だったので、玄武と青龍を消し、朱雀を喚び戻して背中に乗る。

真人に手を振ってトンネルから飛び立った。

朱雀は尾羽が沢山ある赤い鳥のような生き物だ。


強い風を全身に受ける。

それが嫌だったので、風神で逆方向に風を起こして相殺している。



「推しに会えるよ朱雀! ここ来て結構経つけど、やっと二人目だ…」



朱雀はなんのこっちゃ分かっていないが、ほぼ独り言なので構わない。

ドキドキ高鳴る胸を押さえて、まるでアイドルのライブに行くかのような面持ちで遠くを見る。



「あ、白虎…」



少し遠くに白虎の姿を確認した。

朱雀にはそこへ降り立ってもらい、現場へは私ひとりで向かう。

式神連れた呪霊が突然訪ねてきたらどう思う?それが答えです。


0巻の場所かと思いきや、全然知らない古びたお寺。

人間がチラホラさっきから一人ずつ建物内に入っていく。

私にはやっぱり気付かないけど。


そして決定的なこと。

ここにいる人間は皆なにかしらの呪いが憑いていて、出てきた人間には憑いていないということ。


中で夏油が呪霊集めをしている他ない。


たった一枚の扉を隔て、推しがいるんだ。
心拍数が上がった気がした。


人がいなくなり、静けさが立ち込めた頃、私の覚悟も決まった。


ノックは無しに扉を開けた。



「…ずっとそこにいたね。君は一体何者なんだい?」

「…!!」



口から、いや喉から「ヒュッ」という音が漏れた。

胡座をかいて私を冷たい目で見つめるこの呪詛師、夏油傑。
まだご存命の、本物の夏油傑だ。


正直夏油というより羂索が好きなのだが、額の縫い目以外共通しているせいで夏油も普通に好きになってしまった。

心臓が鳴り止まない。

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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時

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