26話 ページ32
「…あの人の術式は厄介です。貴方は会わないほうが得策だ」
「なに？ 教えてよ」
既に知っている情報を、無理にでも聞き出そうとするのはほんの少しだけ心が痛む。
ナナミンは目を伏せている。
「はぁ…このことは内密に。
“呪霊操術”。文字通り呪霊を取り込んで使役する術式ですよ」
「ははぁなるほど。それで私が囚われて夏油側の戦力になるとまずいから、会わせたくないワケだ」
「察しが良くて助かります」
呪霊操術に条件とかあったっけ。
ポケモンみたいに対象が弱ってるのが条件とかなら私はよっぽど大丈夫だけど、無条件だったらちょっと怖いな。
「なんにしろ居場所教える気はないってことね。りょーかい」
「…自分で探す気でしょう」
「うん。
呪霊は人間のしがらみには囚われないわよ。
じゃ、魂返すけど、入れて数時間…いや、彼なら数分かもね。それくらいで起きるからよろしくね」
手元の白い玉を解放すると、五条の体に吸い込まれるように戻って行った。
改造人間や呪霊で試した時は早くて1時間だったが、この男なら数分で目覚めかねない。
「…貴方を見逃したこと、私に後悔させないでくださいよ」
「うん、わかってる」
ナナミンに別れを告げて、ついでに家入さんと、偶然一緒にいた伊地知さんにも挨拶をして高専を出た。
伊地知さんはまた泡吹いて倒れそうなほど驚いていた。
それに関しては慣れてくださいとしか言えない。
「くぅ〜……っっ」
外の空気で深呼吸して、ついでに体の中身を元に戻した。
私が高専に来るときは、毎回こうして体の構造を植物に変化させれば大丈夫そうだ。
登録してくれれば楽なんだけど。
「さーて、真人はいるかな」
メッセージは伝わってるはずだから心配はされていないだろうが、まずは居場所を掴まなければ。
いつものトンネルに気配は無かった。
「て言っても、別に私から探しに出ることもないかー」
どうせいずれ帰ってくるだろうから、トンネル内でくつろいで待つことにした。
夏油の件、どうしようかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1492人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (
レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません？？？お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…！ (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ！ (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります！ (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翡翠 | 作成日時：2021年11月15日 1時
