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序章 ページ1

「おはよーございます!」

「おはよー」



朝、同じ通学路の先輩と挨拶を交わす。



「今日は陸上来る?」

「例のブツが届くんで休みです!」

「また呪術廻戦?」



笑って返してくれる先輩は漫画をあまり読まないが、オタク文化に理解がある素敵な人間だ。

オタクに優しいギャルは幻想だが、オタクに優しい先輩はここにあり。


ちなみに部活が嫌いだとかそういうことはないが、今日だけは早く帰りたい。

なぜなら…



「楽しみにしてた、呪術廻戦コラボの呪霊Tが届くんですよ!」



ふふん、と胸を張って答えた。



「やっぱりまた呪霊っ!」



そんな私を見て大笑いする先輩は、時計を見た途端はっとする。



「時間、やば。走ろ!」

「うげっほんとだ! 全速力で!」



私も時計を見て気付く。

しかし急げば間に合わなくもない時間。


さっさと青に変わった横断歩道を渡って学校へ_



「…へ」

「…A!!」



先輩が私に手を伸ばしている。

真横に迫る巨大な壁。
体がそれに弾き飛ばされた。



「A!! A!!!」



先輩はなぜか涙を流している。
歩いていた人が集まってくる。



眠たい?



自分の意思とは関係なく、瞼が下がってくる。

昨日の夜はしっかり眠ったはずだ。

ゴロンと横を向いた私の視界には、赤い道路と大型トラック。


理解する。

私は信号無視のあれに轢かれてしまったらしい。



「せ、んぱい…」



何故か、痛みは無かった。

ただ泣きじゃくる先輩のトラウマになってしまったら申し訳ないな、とだけ思う。

信号無視をしたトラックの運転手には然るべき罰を受けてもらいたい。

あと突っ立ってスマホを向けている野次馬、恥ずかしいからやめろ。見世物じゃねぇぞ。



「(呪霊Tを受け取れないことと、呪術廻戦を読めなくなることが)」



どうしようもなく悲しいし悔しい。


今際の際でも、頭の中では意外と元気なものだ。


そのうちに、そう考える意識もなくなった。






………………


…………






「痛っ…」



何かに頭をぶつけて、思わず声が出る。

前方不注意、電信柱にぶつかったようだ。



「…いった…」



す、と自分の頭に触れる。

その違和感と共に、つい先程の記憶が蘇った。



「私、死ん…」



近くのお店のガラスを見る。



「は?」



映っていたのは見知らぬ女性。

今ぶつけたところは別として、目立った外傷は無い。



「…これって」



私は、転生してしまったのかもしれない。

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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時

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