それでも ページ10
あれから時間は過ぎて、なんだかんだもう12時。
共同のシャワー室にはもちろん行かせてくれないし、濡れたタオルで体を拭いてベッドに入った。
「.....やっぱり、綺麗な顔だな」
先に眠りについた乙骨くんの頬を撫でる。
この妙な胸の高まりは、はたして恋情によるものなのか怖さによるものなのか。
そんなことももう分からない。
......もし、もしここから逃げられたとしても、私と乙骨くんはただの恋人になれるのだろうか。
関係を1から、なんていうのはただの理想に過ぎないんじゃないか。
現に私は、乙骨くんに怖いという感情を抱いてしまっている。
この歪な関係からはもう逃れられなくて、私が逃げた先には何もないんじゃないか。
「はぁ......ッ、」
不安と恐怖が入り混じった、そんなため息をつく。
乙骨くんはこれしか方法が無かったんだと、そう私に言ったけど。
.....本当に、これが最適解だったのかな。
普通に愛し合いたい、という私の思いは叶えられることなく散り、自由も奪われどこにもいけない。
ただ見ることが出来るのは乙骨くんだけ。
これからも私の頭には乙骨くんしか入ってこない。
真希にも、パンダくんにも、狗巻くんにも、高専のみんなにも、もう会えないんだ。
そんなの嫌だって、最悪だって分かってるのに。
やっぱり乙骨くんのことを見ると、好きな気持ちが溢れ出す。
円満に解決するなんて出来っこないのにな。
「........好き、だよ。乙骨くん」
いっそ、嫌いだったら良かったのに。
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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!!完結おめでとう御座います。狂愛、ヤンデレや特にかん,なんきん系本当に大好きで尚且つストーリーも良くて、ストルック?と言いますか、ただ好きで自己的に戻ってくる凄く良かったです!!他作品も読ませて頂きます!是からも応援しております (3月9日 21時) (レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
金糖の少女 - ェッ、ヤダ乙骨パイセン閉じ込めてくださ(絶命)え、めちゃめちゃ言葉の言い回しすきです、言葉のチョイス神ってますか?神ってますね(自己完結)特に最初のつま先から頭のてっぺん〜ってところほんと読んでて天才か?ってなりました! (1月8日 21時) (レス) @page1 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷エマ(プロフ) - 匿名さん» 返信遅くなってすみません...!プリ小説では活動してないです!良ければ作品の方教えていただいてもよろしいですか...? (8月27日 20時) (レス) id: 63021b120b (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - すみません、主様ってプリ小説でも活動してますか?プリ小説の方でこの小説と似たようなお話があったので連絡させて頂きました。最後になりましたがこのお話とても好きです応援してます (8月21日 15時) (レス) id: 9346b68fad (このIDを非表示/違反報告)
みどり(プロフ) - やけに私の好みどストライクだなぁと思ったら、「病みと最凶は紙一重」の作者様....!!どおりで!あぁもう好きです!!!!生きる糧です!!ありがとうございます!ありがとうございます! (2023年2月5日 19時) (レス) id: 9a5127d1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年1月16日 19時