覚悟 ページ11
関係を1から、なんていうのはもう無理なのかもしれないけど。
でもやっぱり、私は逃げなきゃいけない。
ここは暗くて、することも少なくて、時間が経つのが限りなく遅いから。
私にはしたいことがたくさんあるから。
まだ少しだけでも乙骨くんとやり直せる可能性があるなら、頑張ってみたいから。
「授業に出てる、今なら.......」
果物ナイフを手にとって、なんとか鎖を切ろうとしてみる。
案の定鎖はビクリともしない。
......本当、こんな頑丈な鎖どこで買ってきたんだか。
周りを見渡しても、やっぱり逃げられるようなものはなんにもない。
他の人に気づいてもらうのが不可能となると、やっぱり鎖を取らなきゃいけないわけだけど.....
「.......っ、」
自分の足首に視線が行く。
たったひとつ思いついた方法に、自分自身で息を呑んだ。
........覚悟を、決めなきゃ。
怖くて仕方ないけど、目をそらしちゃ駄目だ。
大丈夫。痛いのなんて一瞬だよ。
ナイフを自分のかかとに当てて、削っていくように少しずつ刃を進める。
「い゛ッッ......!!はぁッ、」
切断する必要はない。
ただ輪っかの部分を足から外せるように、ちょっとだけかかとを削るだけ。
痛くなんかない。ほら、深呼吸して。
「ふーっ、ふーっ.......」
血にまみれたナイフ。
痛みで震えが止まらない私の右足。
力強く輪っかをかかとの方に進めると、右足の鎖が取れた。
「あと、左足だけ......」
同じ苦痛をもう一度味わわなければならないと思うと、恐怖で手が震えた。
震える右手を左手で抑えて、なんとか左足首に当てる。
声を抑えるために服を噛んで、左足も同様に鎖を外した。
「取れ、た..........」
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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!!完結おめでとう御座います。狂愛、ヤンデレや特にかん,なんきん系本当に大好きで尚且つストーリーも良くて、ストルック?と言いますか、ただ好きで自己的に戻ってくる凄く良かったです!!他作品も読ませて頂きます!是からも応援しております (3月9日 21時) (レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
金糖の少女 - ェッ、ヤダ乙骨パイセン閉じ込めてくださ(絶命)え、めちゃめちゃ言葉の言い回しすきです、言葉のチョイス神ってますか?神ってますね(自己完結)特に最初のつま先から頭のてっぺん〜ってところほんと読んでて天才か?ってなりました! (1月8日 21時) (レス) @page1 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷エマ(プロフ) - 匿名さん» 返信遅くなってすみません...!プリ小説では活動してないです!良ければ作品の方教えていただいてもよろしいですか...? (8月27日 20時) (レス) id: 63021b120b (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - すみません、主様ってプリ小説でも活動してますか?プリ小説の方でこの小説と似たようなお話があったので連絡させて頂きました。最後になりましたがこのお話とても好きです応援してます (8月21日 15時) (レス) id: 9346b68fad (このIDを非表示/違反報告)
みどり(プロフ) - やけに私の好みどストライクだなぁと思ったら、「病みと最凶は紙一重」の作者様....!!どおりで!あぁもう好きです!!!!生きる糧です!!ありがとうございます!ありがとうございます! (2023年2月5日 19時) (レス) id: 9a5127d1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年1月16日 19時