メイド編 第1話 ページ2
「着きましたよ、レイヤ様。」
馬車が止まり、少しの間待っていると、
御者がドアを開けてそう言った。
「あぁ、有り難う。」
差し出された御者の手を取って、私は馬車から降りる。
ブワッと風が吹いた。
「ん……。」
思わず顔をしかめる。
風が強いな……。
乱れないように、髪を抑えた。
「では、私はこれで……。」
御者は私に一礼し、馬車に乗る。
「お疲れ様。」
そう言うと御者は、
「お元気で。」
と返して馬を走らせた。
馬の走る音が、森の中に響く。
私は見えなくなるまで、馬車を見つめていた。
「さて……。」
馬車が見えなくなり、私は館と向き合う。
……噂通り大きい。
だが、何よりも……
「美しいな。」
思わずそう呟くほど、その目の前にある館は美しかった。
白い。屋根も壁も門も、全てが白い。
汚れは一切なく、天使の館と呼ぶに相応しい美しさだ。
「………ふむ。ここの掃除は骨が折れそうだ。」
ここまで美しいとなると、館の主は掃除に厳しそうだし。
私はそんなことを考えながら、門に向かって歩き出した。
ポケットから懐中時計を取り出し、時間を見る。
午後の4時、約束の時間ピッタリだ。
「………ふう。」
門の前でノックする前に、息をつく。
………上手くやっていけますように…………。
スウッと息を吸って、私はコンコン、とノックをした。
……間違えて、本名を言わないようにしなくては。
「……こんにちは。新しいメイドの、アルサ・カルビアです。」
そう言うと、直ぐにドアが開く。
「こんにちは、よく来たね。」
出てきたのは、ニコニコした若い男。
いかにも好青年、という感じだ。
わざわざ門の前で待っていていたのか。
この館の使用人かと思ったが、使用人にしては服があまりにも豪華すぎる。
「どうしたの？」
グイッと男の顔が目の前に来る。
「え？ あ、いえ、何でもないです。」
長く見つめすぎたか？
「そう？ だったらいいけど。じゃ……君のご主人様のいる部屋に案内するよ。」
そう言って男は、私の手を取った。
「え？」
「レディをエスコートするのは、僕の役目だからね。」
キザな台詞を吐いて、男はウインクをする。
「は、はあ……。」
何かチャラいなコイツ。
私はそう思いながらも、チャラ男に引っ張られるまま、歩き出したのだった。
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Usana(プロフ) - 飽き性さん» あぁ！返信遅くなっちゃってごめんなさい(-_-;)コメントありがとうございます！苦労人ヒロイン可愛いですよね！更新頑張ります！ (2017年3月13日 19時) (
レス) id: f425269609 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - こういうヒロインが苦労人の話大好きです！更新がんばってください！(*^_^*) (2017年1月10日 11時) (レス) id: 2748bea7af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SAN | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/suirinko3m1/
作成日時：2015年12月10日 21時
