片目が義眼の転校生は...【名探偵コナン】

A night view＿17 ページ20

・





『え、』


まさか便乗してきたのが想定外だったのか、子供相応の反応を見せる


「キッド！！待て！！！」


おいおい犬みたいに言うなよ、と内心指摘しつつ一瞬で姿を消してやった




**




舞い上がる体

眼中に広がるネオンの恍惚

風に流される事なく飛んで行く



『ちょっと、いきなり何...を、』



腕にすっぽり収まった幼女が今しがた現状に気付き、そのまま下の夜景へ目を移している




『......』

「＿＿高所は苦手ですか？」


だんまりを決め込む少女に声をかける



『...いや、貴方がここから私を落としたら毎秒何kmで何秒後に地に叩き落とされるかなって』



夜 景 等 見 て い な か っ た




なんつー事考えてんだこいつ。末恐ろしい事この上無いな



『まぁ、でも』



透き通った声が少しだけ高揚を隠しきれない様子で反芻した




『空から見る夜景も悪くないかも』



赤い瞳に映るライトはやっぱり紅くて


それでもこの少女にはちゃんと色付いて見えているのだろう


これだけ明るいと米花がいかに商業貿易の町か一目で分かる




『そう言えばどうやって一瞬で空中にいたの？イリュージョン？フィラデルフィア実験？』

「マジシャンにタネ明かしは御法度ですよ」

『あ、そ。じゃあ死んで』


ハングライダーで空中浮遊してる最中、抱えているせいで両手が塞がってるのをいい事に拳銃を押し付けてくる



「不法な銃刀所持は違反ですよ」

『私子供だからそんなの分かんない』



どこぞのガキと被る台詞に思わず苦笑い



「ここで降ろしてもいいんですよ？」

『殺人の罪まで被る気ですか？称賛する』

「ありがとうございます」

『盗人は皮肉の言葉も知らないの？』



本気で憐れみの眼差しを寄越す少女に俺は盗人じゃねぇと言ってやりたいのをぐっと堪える



＿＿まぁ、でも。拳銃構えてる割りにセーフティーは外してないままなんだよなぁ


本当に命を狙う気があるのやら無いのやら




『そうだ。浮遊ついでに家まで送って』



何事かと思い耳を澄ませていれば堂々とパシってきやがった




「＿＿承知致しました」


自分でも分かる、胡散臭い笑みを全面に押し出して笑いかけた





**



「さぁ着きましたよ」


門を前にふわりと降り立つ




『...いや、何処です？』

「私の家ですね」

『お巡りさんここです』



少女は冷静沈着を見せるかと思いきや無表情のまま頭を抱えていた

Absent＿18→←Theft＿16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す