暗殺１２ ページ12
「なに、大声出しちゃってさ…もしかして握ってるこの手？」
「わ、分かってるなら離してくれても…」
「急いでるからダーメ」
あっさり却下されてしまった…。
顔が熱を帯びてるのが分かる。
今、私真っ赤だ。
「あっれ〜？どうしたの、茹でタコみたい」
「絶対面白がってるよね…？！」
「あはっ…バレた？だってAちゃんの反応面白くてさ。からかいたくなるよね」
「なりません！！」
そんなやりとりをして数分、電車に乗り込む。
「カルマくんもこの電車なの？」
「んー？まあね、こっちの方向ー」
「Aちゃんはここからあと何駅のとこで降りるの？」
「えっと、４駅だよ」
そう答えると…分かった、おっけー。と返事がきた。
この時間帯はやっぱり混んでいた。
その為、私たちは席に座れず立っていた。
この人数に圧倒されてか足元がふらつく。
それと同様に何人かふらつきドアと人の間に挟まれ苦しい。
「んんっ…」
声を押し殺して我慢しても、苦しさからは避けられなかった。
少し楽な方向に移動しようと試みた。
その瞬間、なぜか移動してないうちにスッと軽くなった。
ふと後ろを振り返ると、彼が斜め後ろにいつの間にか立っていた。
「平気？なんか苦しそうにしてたけど、楽になった？」
カルマくんは、身を挺してまで私から人混みに衝突しないようにしてくれた。
つまりドアに私でその後ろに彼がいる。
逆に心臓に悪い挟まれ方された…！
カルマくんのカーディガンからの匂いと本人の匂いで、今にも倒れそう。
「わっ…！」
ダンッと、彼がドアに手をつく。
「えっ…」
彼の方を向くと、少女漫画にありそうな壁ドンだった。
結構顔近くて緊張するし、カルマくんの息が私の頬に掠るくらい。
「…そんなに俺の顔見てもこの距離は何ともできないよ？」
「えっ、そんなに見てた？！」
無意識のうちにカルマくんの目を見つめていた。
綺麗な色の瞳だった。
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作者名：彗 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sui12141/
作成日時：2015年3月15日 2時
