. ページ26
ー
丘から見える空に、白龍の姿となった真都さんを見て、初めて見たはずだったのに懐かしい気持ちになった。どこかで見たことあるような気がして、空を悠々と飛んでいる真都さんをじっと見つめた。
頭の奥の奥の方で、じんわりと浮かんでくる記憶は、わたしの記憶ではない。
白い衣装を身に纏った髪の長い女の人が、空に向かって手を伸ばす。周りには同じ装いの人がその女の人の周りを取り囲んでいた。
記憶の通りに、何気なく空に向かって手を伸ばすといつの間にか目の前に真都さんが人間の姿で立っていた。
村上「呼ばれたような気がして」
そう言って、真都さんはわたしと目を合わせた。
そのまま真都さんと向井さんと三人で雪乃屋の裏玄関から入ると、既に薬舗も廻船問屋も店仕舞いの支度をしていた。
村上「今帰ったよ」
佐久間「おかえりなさい」
阿部「おかえりなさい若旦那。」
真都さんの声に奥の方から大介さん達が出てくる。
向井「ただいまぁ」
深澤「どうだった？楽しめた？」
『はい。』
岩本「なんにもなかったか？」
向井「何にもって？」
岩本「下手人騒ぎがあったろ」
向井「あぁ、まぁ町はこの話で持ちきりやったで？」
岩本「そうか、、」
向井「なんで？なんかあったん？」
岩本「今朝また遺体が上がってな。ちょっとした騒ぎになってたんだ。」
渡辺「あれだろ？うちが卸してる小さな薬舗屋の店主が襲われたんだろ？」
向井「え？源兵衛さんとこ？」
岩本「そう。」
向井「だから今日通りかかった時閉まってたんや、、」
深澤「この前襲われたのって、確か香木屋だったよな？」
佐久間「香木屋？」
阿部「お香だよ、香りを染み込ませた木片を燃やして使う」
佐久間「あぁ、、あれ？それってうちで調合してるやつだよね？」
村上「そうだね」
向井「これって偶然？」
岩本「だといいんだけど」
立ち話をしていると奥の方から目黒さんが袂に手を入れたまま歩いてきた。
目黒「帰ったのか」
村上「うん。ただいま。」
目黒「お祈りの途中、なんかあったか？」
村上「え？どうして？」
目黒「いや、お祈りに行ってから直ぐに白龍の気配が消えたから、なんかあったのかと思って。」
村上「あぁ、それは、」
向井「なぁ、中入ってもええ？腹へったぁ」
目黒「お前、空気読めよ」
向井「話なら晩飯食いながらでもできるやろ？」
そう言うと向井さんはわたしの手を取って、縁側から上がらせてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スヒョン(プロフ) - m.mさん» コメントありがとうございます！頑張って編集した甲斐がありました。お話も随時更新していくので読んでくださると嬉しいです！ (9月7日 12時) (
レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
m.m - 今回の動画胸熱すぎました！何回もリピしてます！小説も動画も更新楽しみにしてます！ (9月6日 20時) (レス) id: c7ba4a52f7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - くみさん» くみさんコメントありがとうございます😊少しずつみんなの過去が明らかになってくるので読んでいただけると嬉しいです。 (6月12日 15時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います！毎回楽しみに読ませて頂いております！皆さん悲しい過去を背負って生きてきたのですね｡･ﾟ･(ﾉ∀`)･ﾟ･｡ (6月11日 21時) (レス) id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スヒョン
| 作成日時：2023年6月8日 13時
