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『目が、、廉にもらった霊力が、、
消えかかってる、、』
さっきまでしっかり握っていたはずの手綱がうっすら透けて見える。体を起こして黒馬に歩み寄ってみるけど、黒馬も透けてしまっているし、起きあがろうとするけど力が入らないようだった。
『もういいよ、ありがとう、』
そういうと、黒馬は起きあがろうとするのを辞めて、白い霧のような粒子になって消えていった。
雨は更に強く降り始め、黒い雲が空の隅まで広がっていた。この雲は一生消えないんじゃないかと思えるほどどっぷりと重い雲に見えた。
『霊力、、。貰った分完全に消えちゃったかな、、』
でも、わたしには立ち止まってる時間はない。少しでも早く朧に着かなければならない。向かっていた方向は見失ってない。雨で進めなくなる前に出来るだけ朧に近づかなくてはいけなかった。
『真っ直ぐ、、西、。』
傷付いた体を木を支えにして立つ。鉛のように重い足を一歩ずつ動かして行く。雨水を吸ってしまっているからなのか、荷物が異様に重く感じた。
木から木へ方角だけは見失わないように、少しずつ歩いて行くと少し開けた場所に出た。
遠くに淡い光がポツリと浮かんでいるのが見えて、やっと、朧が見えて来たと思うけれど、遠目で一瞬見えるだけの光の距離がとても遠く感じる。
それに目の前は切り立ったちょっとした崖のようになっていて、何処からどう回っていこうかと振り返った。
その瞬間だった。
黒い霧のようなものが全身を覆ったかと思うと、背中に激しい痛みが走る。刃物で切り付けられるよりもっと背中が焼けるような痛みだ。
黒い霧は不気味に形を変えては、まるで生きているように動いている。
わたしは痛みのあまりその場に座り込むと、地面がぐらんと揺れたかと思ったら、そのまま崖の下に滑るように落ちていった。
幸い、そこまで高い崖でもなく、雨で柔らかくなった土が落ちた衝撃を和らげてくれたようだった。
影の上を見てみると、まだ黒い霧はゆらゆらと動きながら、直感的に「こっちを見ている」と思った。
背中の痛みをぐっと堪えながら、昼か夜かもわからない森を正体のわからないモノから逃げている。
頼れるのは、果てしなく遠くに見える小さな光だけ。
切り付けられたのが背中だけではない事に気づいていたけど、そんなことはどうでも良かった。
"生きてさえいてくれれば"
ただ、"生きる"ため。
そのためだけに、走った。
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Asura(プロフ) - ありがとうございます！楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (
レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして！コメントありがとうございます！まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください！移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして！スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか？ (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます！usermho6x4ya37←こちらになります！作品名検索でも出てくると思います！ (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます！嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スヒョン
| 作成日時：2023年4月22日 2時
