クリーム色の青春【菅原孝支】 (ページ10)

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10.友達の好きな人ページ10

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菅原side

大地に紹介されて道宮と宮下に顔を合わせたのは
バレー部に入って2週間くらいした頃だったかな。
二人とも凄くしっかりしていて、明るくて、いい子。

宮下は、背は高くないのにジャンプ力があって力も強くて。
周りに自分よりデカイやつも多いのに
リベロやセッターじゃなくてスパイカーにこだわっていた。
バレー部同士話す機会も多かった。
俺は最初からずっと。初めて会った時からずっと。
宮下のことを可愛いと思っていた。

だからあいつが初めての試合でミスった時は
いてもたってもいられなくて、待ち伏せして体育館に連れ出した。
初めてあの小さい手に触れた時
ずっと側にいたいって。独り占めしたいって思ってしまった。

「宮下って彼氏とかいるのかな…」

色恋沙汰には無縁そうな大地が
真剣にそんな台詞を発したのを聞いたのがその翌日。

「いないんじゃない？なんで？」

俺がそう返事すると、大地は顔を赤らめて慌てた。

「いや、その…変な意味ではないんだ！」
「じゃあ、どういう意味？」

彼氏の有無が気になるなんて、好きだってことでしょ。
それしかないでしょ。
気持ちがすっと引いていくのが分かった。
俺は大地の好きな人を奪おうとは思わない。
そんなことしたって、一つもいいことはない。
宮下のことは、諦めよう。

今思えばそんな風に思えるって事は
それだけの気持ちだったんじゃないかな。
そんなこともあったなあなんて、今は懐かしく思うけど
結局大地は宮下となんの進展もないままだったし
俺は自分の気持ちもよくわからないまま、3年になって彼女も出来た。
それなりに幸せだったし、彼女のことだってちゃんと好きになったと思ってた。

けれど弱っている時に手なんて握られて。
やっぱりこの子、可愛いなと思ってしまった。