【とある雨の日の約束】 ページ2
梅雨の時期に入った六月。外は暗く、一向に止まない雨が天候を悪くさせていた。
「………、」
「Aちゃん?ぼーっとしてどうかした?」
「あ…。いえ、その…」
羽休めに丁度いいその家には男女が既に住んでいた。わたしを今日のような雨の日に拾ってくださったのは『そらるさん』という青空のような方。行く宛もなく公園の屋根のあるベンチに座っていた所を拾われ、こうして住ませて貰っている。
こんな怪しい人間を疑いもせず家に置いてくださっているそらるさん。事情も聞くことはなく、毎日優しくしてくれた。
「…なんでも、ありません」
過去と重なる日常に怯えながら喉を殺して頭を横に振る。
何か言ったら怒られるんじゃないか。殴られるんじゃないか。そらるさんがそんな酷いことしないということは理解している。信じていたけれど、どうしても重ねて見えてしまう。
そんな時そらるさんが言ってくれた。
「約束しよっか」
「……やくそく、ですか?」
「うん。言えば決まり事みたいな感じ」
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しらたま(プロフ) - ほわっと心が温まるような雰囲気のお話ですね。ここからの展開が気になります!応援しています。 (2020年11月17日 4時) (レス) id: 01565d18e6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃@みかん教 - この作品すごく好きです! 何て言うか、雰囲気がいい……! もう本当に、とにかく、大好きです! 応援してます、頑張ってください! (2020年10月26日 20時) (レス) id: c902bbcb86 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - じんわりと心が温まる作品でした…!指切りの最後を針千本飲ます、ではない言葉に言い換える優しさにぐっときました。 この後の展開もとても気になります!これからも頑張ってください!応援しています! (2020年10月24日 21時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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