あの手2 ページ10
(side You)
ラ「でも…」
『ふふ、そんな事で落ち込んでいたんですか?』
愛らしい頬を撫でると彼女は更に眉を曲げた。
ラ「そんな事って…はぁーっ、Aさんって、お人好しすぎる!それに能天気!ほんとに海賊船に乗ってたんですか?」
落ち込んだ私がバカなみたい、と、ラグナちゃんは足を放り出して項垂れる。どうやら呆れさせてしまったらしい。
ラ「…はぁ…適わないなあ」
『ふふ、そうですか?』
頭を抱えていた彼女は両手の間から呆れたような笑顔を覗かせる。つられて私も笑顔になった。それからしばらくの間、私達はただお互いの顔を見て笑い合った。もう途中からは何がおかしいのかも分からなかったけれど、何か緊張の糸が切れたみたいに笑いが止まらなかった。
ラ「はー、おかしい!私やっぱりAさん大好き!」
ひとしきり笑った後にラグナちゃんがギュッと抱きついてきた。顔を埋めてすーっと息を吸った彼女は見た事が無いくらいに清々しい顔をしている。
ラ「ねえ、Aさんってマルコの事、好きだったでしょ?」
先程まで愛らしく顔を埋めていた彼女が今度はいたずらっ子みたいな顔で見上げてきた。
『えっ…何のことだか…』
ラ「あっ!とぼけてる!バレバレだったよ?」
シラを切って顔を背けるとニヤニヤしながら彼女が顔を覗き込んで来る。
ラ「ねえねえ、Aさんはマルコのどこが好きなの?顔…は無いか。やっぱり強いところ?」
さらっと酷いことを言うラグナちゃん。ここに彼がいなくてよかったと胸を撫で下ろす。
マルコ隊長の好きなところか…そう言えば、深く考えた事は無かったかもしれない。
『ラグナちゃんは、どんなところが好きだったんですか?』
ラ「だーめ!今はAさんの話でしょ?ほら!教えてー!」
若い彼女はこの手の話に大盛り上がり。正直気圧されてついていけない。このまま黙っていたらしつこく聞かれ続けるんだろう。
マルコ隊長の好きなところ…気持ちを自覚したのは、初めて彼の戦う姿を見た時で、炎を纏った彼から目が離せなかったのを覚えている。
それからは、彼が何をしていても輝いて見えて、前にするだけで胸が高鳴った。優しく触れられる度に心臓が止まりそうだった。
『そうだなぁ…』
ラ「あ、待って、私当てるわ!せーので言いましょ?」
何か思いついたのかそんな提案をされる。
ラ「いくよ?…せーの!」
「『手!』」
私達は顔を合わせてまた大笑いした。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます!!過去編もうちょっとだけ続くと思われます!これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです!! (2019年5月13日 23時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか!過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい! (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ!ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉…!感無量です!ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます!これからもどうぞお付き合いください! (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください!続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…(;∀;)少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります!!これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います! (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がまお | 作成日時:2019年3月15日 15時